米University of North CarolinaのAmy K. Mottl氏

 糖尿病網膜症の検査時にModerateまたはSevereと診断された2型糖尿病患者は、「None」または「Mild」と診断された患者と比べて顕性アルブミン尿クレアチニン値の悪化が見られ、心血管イベントの発症率が高いことが示された。さらに、糖尿病網膜症の重症度に依存して、腎臓障害と大血管イベントはほぼ同じ割合で、かつ同じタイミングで増加することも明らかになった。ACCORD試験に登録された患者を対象にしたサブグループ解析(ACCORD Eye)の結果で、米University of North CarolinaのAmy K. Mottl氏らが、6月21日にシカゴで開幕した米国糖尿病学会(ADA2013)で発表した。

 Mottl氏らは、腎臓障害と心血管イベントが、糖尿病網膜症と相関関係があるかを検討した。

 40〜79歳、HbA1cが7.5%以上、心血管疾患既往または高リスクの2型糖尿病患者を対象にした無作為化試験であるACCORD試験に登録された患者のうち、登録時に網膜症の検査を実施した患者3369人を対象とした。

 糖尿病網膜症を診断するための眼底検査は、試験登録時に実施した。血清クレアチニン、心血管イベント、死亡に関する情報は、4年の間、4カ月おきに収集した。

 腎臓障害の定義は、血清クレアチニン値倍増の継続または顕性アルブミン尿(300μg/mg以上)または末期腎不全とした。大血管イベントは、心筋梗塞、脳卒中、心血管死、非血管死。

 4年間の追跡が完結した3210人について解析を行った。まず試験登録時における網膜症の状態は、「None」が1628人、「Mild」が587人、「Moderate」が955人、「Severe」が40人だった。

 患者全体の年齢は60〜62歳、BMIは32kg/m2、女性割合は25〜38%、収縮期血圧は133〜140mmHg、拡張期血圧は73〜75mmHg、血清クレアチニンは0.9〜10mg/dLだった。

 網膜症重症度別に患者背景を見ると、糖尿病罹病期間は「None」群が6年、「Mild」群が9年、「Moderate」群が13年、「Severe」群が15年、HbA1c値はそれぞれ8.2%、8.2%、8.4%、8.7%、心血管既往率は30.4%、31.7%、34.7%、47.5%、eGFR(mL/分/1.73m2)は90.9、90.5、90.2、85.6、微量アルブミン尿[尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)30μg/mg以上]率は18.9%、18.4%、30.3%、45.0%、顕性アルブミン尿(尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR 300μg/mg以上)率は3.5%、5.1%、9.1%、17.5%だった。

 解析の結果、試験登録時にNone群またはMild群と診断された患者の顕性アルブミン尿発生頻度は2.9%だったのに対し、Moderate群またはSevere群は7.5%と上昇した(ハザード比:2.58、95%信頼区間:1.83-3.65)。クレアチニン値倍増状態の継続は、None群またはMild群が0.9%、Moderate群またはSevere群は2.1%(同2.31、1.25-4.26)、心血管イベント(非致死性の心筋梗塞や脳卒中)発生率は4.7%と9.1%(同1.98、1.49-2.62)だった。

 一方、末期腎不全(eGFRが15mL/分/1.73m2未満)はそれぞれ2.2%、2.3%、心血管死は1.1%、1.4%、非血管死は1.6%、1.9%で見られ、それぞれ有意差はなかった。

 試験登録時の網膜症重症度別に、追跡4年間における腎臓障害と大血管イベント発症の患者割合の推移を比べたところ、網膜症重症度に依存して腎臓障害と大血管イベント発症の患者割合は同様の経時的変化を示した。None群またはMild群における腎臓障害と大血管イベント発症の患者割合は、どちらもほぼ同じ割合かつ同じタイミングで増加し続けた。網膜症Moderate群またはSevere群もほぼ同様の傾向だったほか、None群またはMild群と比べて早く増加した。

 これらの結果からMottl氏らは、「腎臓障害と心血管イベントは、試験登録時の網膜症重症度と関連しており、その発生率の経時的変化は、網膜症重症度に依存した」とまとめた。