新山手病院(東京都東村山市)生活習慣病センターの谷口由紀子氏

 持効型インスリンまたは二相性インスリンを投与されている2型糖尿病患者にDPP4阻害薬のシタグリプチンを追加すると、24時間の血糖変動をより平坦化するだけでなく、食後の血糖コントロールにも有効であることが示唆された。持続血糖モニター(Continuous Glucose Monitoring:CGM)を用いて検討した結果で、6月12日までフィラデルフィアで開催された米国糖尿病学会(ADA2012)で、新山手病院(東京都東村山市)生活習慣病センターの谷口由紀子氏らが発表した。

 同グループは以前、CGMを用いた研究において、2型糖尿病患者における血糖日内変動に対するシタグリプチンの効果を評価したところ、24時間の平均血糖値を低下させるだけでなく、食後高血糖も抑制したことを報告している。今回は、インスリン療法を受けている2型糖尿病患者において、シタグリプチンが同様の効果をもたらすかどうか検討した。

 対象は、血糖コントロール目的で入院し、インスリン療法によって血糖コントロールが安定した2型糖尿病患者14例(年齢62歳、男性12人)。インスリンに加え、経口血糖降下薬を処方されている例は除外した。患者背景は、BMI が25.0kg/m2、入院時HbA1c(JDS値)が9.5%、尿中Cペプチドが62.6μg/日だった。インスリンレジメンの内訳は、持効型インスリン1日1回投与が4例、二相性インスリン1日2回投与が8例、べーサルボーラス療法が2例で、平均のインスリン投薬量は19.0 U/日だった。

 CGMによる24時間血糖測定は、午前8時から翌日の午前8時までを1サイクルとし、6日間実施した。初めの2日間は、これまでと同様のインスリン治療のみを行い、3日目から6日目までの4日間、従来のインスリン療法に加えシタグリプチン50mg/日を追加した。

 24時間のCGMデータに基づく平均血糖値を、インスリン療法単独の場合とシタグリプチンを加えた場合とで比較すると、後者の方が血糖変動は改善されていた。

 インスリン単独療法期間(2日間)とシタグリプチン追加期間(4日間)で比較すると、24時間に288回測定された血糖値の平均値や標準偏差、平均血糖変動幅(mean amplitude of glucose excursion:MAGE)はシタグリプチンを追加した方が有意に低下していた(いずれもP<0.001)。持続血糖測定値の曲線下面積(持続血糖測定値と24時間平均血糖値で囲まれる面積)も有意に減少していた(P<0.05)。また、低血糖(血糖値70mg/dL未満)であった時間はわずかに増えていたものの、高血糖(180mg/dL超)であった時間の割合はほぼ半減していた。

 これらから谷口氏は、「インスリン療法を受けていた2型糖尿病患者にシタグリプチンを追加投与すると、24時間平均血糖値を低下させるだけでなく、食後高血糖を抑制し、日内血糖変動幅を減少させた。したがって、食後の血糖コントロールに効果的であることが示唆された」と結論した。一方、べーサルボーラス療法を受けている糖尿病患者にシタグリプチンを追加投与すると食後低血糖が誘発される恐れがあるので、追加インスリン量を減らす必要が生じる可能性も指摘した。

(日経メディカル別冊編集)