過体重もしくは肥満の慢性腎臓病(CKD)患者では、糸球体濾過量(GFR)にかかわらず、血中ビタミンD濃度が低いことが分かった。なかでも、CKDが進行した患者では副甲状腺ホルモン(PTH)値が大きく上昇していることも明らかになった。6月12日までフィラデルフィアで開催された米国糖尿病学会(ADA2012)で、ギリシャUniversity of IoanninaのStelios Tigas氏らが発表した。

 血中ビタミンD量の指標となる血清25(OH)D低値は、GFRが30mL/min/1.73m2未満に大きく減少していると、肥満だけでなく慢性腎臓病(CKD)とも関連することが分かっている。また、CKD患者におけるGFR低値は、高リン血症、低カルシウム血症だけでなく、1,25(OH)2D低値とも相関し、二次性副甲状腺機能亢進症(HPT)が誘導され、腎性骨症を発症する。今回は、過体重および肥満を有する軽度から重度のCKD患者において、血清ビタミンD代謝物、PTH、カルシウム、リン酸との関係を検討した。

 対象は、18歳以上でBMIが25kg/m2以上のCKD患者99例。悪性腫瘍、感染症を有する患者、ステロイド、カルシウムやビタミンDを服薬している患者、3カ月以内に心血管イベント(狭心症、急性心筋梗塞、急性肺水腫、末梢血管疾患)を起こした患者は除外した。

 対象を推算GFR(eGFR)値に応じて、90mL/min/1.73m2以上のA群(13例、111mL/min/1.73m2、平均年齢55歳)、60〜89mL/min/1.73m2 のB群(37例、73mL/min/1.73m2、59歳)、30〜59mL/min/1.73m2 のC群(33例、43mL/min/1.73m2、68歳)、15〜29mL/min/1.73m2 のD群(16例、24mL/min/1.73m2、68歳)の4群に分類した。

 各群の患者背景については、体重はA群82kg、B群82kg、C群83kg、D群83kg。BMIはそれぞれ30kg/m2、30kg/m2、31kg/m2、32kg/m2、ウエスト周囲径はそれぞれ108cm、106cm、107cm、110cmだった。

 血清25(OH)D値は、A群21.7ng/mL、B群22.6ng/mL、C群18.7ng/mL、D群15.8ng/mLと、 4群すべてで低かったが、D群が有意に低値だった(P<0.05)。1,25(OH)2D値はそれぞれ111pg/mL、73pg/mL、43pg/mL、24pg/mLと、C群以降で低下が見られた。血清PTH値はA群(42pg/mL)とB群(74pg/mL)では正常であったが、C群は80pg/mLと上昇し、D群では217pg/mLと大幅に増加していた。血清リン酸値はB群とC群に比べ(いずれも3.1mg/dL)、D群(3.7mg/dL)で有意に高値だった(P<0.05)。一方、カルシウム濃度は全群ほぼ同レベルだった。なお、空腹時血糖が正常値でなかった患者の割合は、腎機能の悪化に伴って上昇していた。

 これらの結果からTigas氏は、「過体重または肥満のCKD患者において、血清25(OH)DはGFRによらず低値だった。GFRが30mL/min/1.73m2 未満のCKDが進行した患者においては、二次性HPTが著明に進んでおり、さらに、25(OH)Dと1,25(OH)2Dが低下しており、血清リン酸値は高かった」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)