Charles R. Drew大学のMayer B. Davidson氏

 前糖尿病患者に対し、高用量のビタミンDを1年間投与した結果、糖尿病発症率やインスリン分泌能、インスリン感受性はプラセボ群と有意差がないことが示された。Charles R. Drew大学のMayer B. Davidson氏が6月12日までフィラデルフィアで開催された第72回米国糖尿病学会(ADA2012)で発表した。

 糖尿病および前糖尿病患者におけるビタミンDレベルは、正常群と比べて低いことが報告されているが、両者の因果関係は証明されていない。そこで、Davidson氏らは、高用量のビタミンDを1年間投与して糖尿病発症に影響を与えるかについて検討を行い、インスリン分泌量とインスリン感受性についても調べた。

 対象は、以下の条件を1つ以上満たした、40歳以上のラテンアメリカ人と黒人とした。(1)腹囲が男性40インチ以上、女性35インチ以上、(2)糖尿病歴のある第一親等の家族がいる、(3)高血圧で治療中または血圧140/90mmHg以上で新たに高血圧と診断、(4)HbA1c値により妊娠糖尿病と診断されたことがある―。

 対象となったのは1551人。さらにHbA1cによるスクリーニングを行い、HbA1cが5.8〜6.9%だった520人に対し、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施。前糖尿病状態(FPG=110〜125mg/dL and/or OGTT2時間血糖値=140〜199mg/dL)で、ビタミンD欠乏症(30ng/mL未満)の117人を、高用量ビタミンD投与群(56人)とプラセボ群(53人)の2群にランダムに割り付け、1年間投与した。1週間あたりのビタミンD投与量(IU)は、(100-baseline vitamin D)× 体重(kg)× 15.7とし、血清レベルが80ng/mLに到達した場合に投与量を25%減少させた。1週間のビタミンD3平均投与量は88,865 IU(範囲は64,731〜13,4446 IU)だった。

 ビタミンD濃度、血清カルシウム、尿中のカルシウム/クレアチン比は、投与開始から1、2、3、6、9、12カ月後に測定。HbA1c値、OGTTは3カ月ごとに測定した。

 被験者の背景は、年齢(プラセボ群が52.5歳、ビタミンD投与群が52.3歳)、女性割合(64%、71%)、ラテンアメリカ人の比率(83%、91%)で、FPG、OGTT2時間血糖値、HbA1c値を含め、いずれも両群間に有意な差はなかった。

 投与の結果、インスリン分泌能を示す各指標(HOMA-β、インスリンAUC/グルコースAUC、Stumvoll第1相、Stumvoll第2相など)は、いずれも投与開始から1年後まで両群間に有意な差は見られなかった。

 インスリン感受性を示す各指標(HOMA-IR、Matsuda index)についても、投与1年後まで両群間に有意差は見られなかった。

 さらに、投与開始1年後の両群における糖尿病や正常型への移行率にも有意差はなかった。糖尿病への移行率はプラセボ群が9%、ビタミンD投与群が12%。正常型への移行率はそれぞれ38%、41%だった。

 これらの結果からDavidson氏は、「(主に)ラテンアメリカ人への1年間にわたる高用量ビタミンD投与は、インスリン分泌とインスリン感受性、前糖尿病状態からの糖尿病発症や正常群への移行率などに影響を与えなかった」とまとめた。