高率に心血管疾患を合併している、糖尿病性足部潰瘍を持つハイリスク2型糖尿病患者集団の長期生存率をHbA1c別に比較したところ、HbA1c低値群(7.5%未満)の方が、HbA1c 7.5%以上の群よりも、2年生存率、4年生存率、6年生存率、8年生存率のいずれも有意に低かったという前向き研究の結果が報告された。スウェーデンLund UniversityのMagnus Londahl氏が、6月12日までフィラデルフィアで開催された第72回米国糖尿病学会(ADA2012)のポスターセッションで発表した。

 Londahl氏らは、治療を4週間行っても足部潰瘍が治癒しない80歳未満の2型糖尿病患者を対象として、HbA1cと長期死亡率との関連を評価する前向き研究を実施した。

 登録された患者は223人で、このうちHbA1c測定データが得られている214人(女性が37.9%、平均年齢69.1歳)を解析対象とした。これらの患者を、ベースラインのHbA1c値別に、HbA1c 7.5%未満(第1群、81人)、7.5〜8.9%(第2群、70人)および9.0%以上(第3群、63人)の3群に分け、8年までの長期生存率を比較した。また、各患者における心血管疾患の合併についても調べた。

 その結果、年齢(第1群は平均72歳、第2群は71歳、第3群は67歳)、糖尿病の罹病期間(それぞれ平均11年、11年、12年)、性別(女性が32%、39%、44%)、喫煙歴(57%、51%、54%)に関して各群に有意差はみられなかった。

 各群における心血管疾患の合併率は、心筋梗塞(それぞれ33%、23%、22%)、心不全(25%、29%、19%)、高血圧(75%、69%、68%)、末梢血管疾患(64%、51%、68%)、eGFR値60未満の末期腎疾患(27%、28%、26%)といずれも高率だったが、各群間に有意差は認められなかった。

 各群の長期生存率を比較したところ、HbA1c 7.5%未満の第1群の生存率は、2年、4年、6年、8年のすべての時点で、第2群、第3群、第2群+第3群(HbA1c 7.5%以上)のいずれよりも低く、死亡に関するハザード比は第1群が有意に高かった。

 HbA1c 7.5%未満の群とHbA1c 7.5%以上の群とを比較した死亡に関するハザード比は、2年時点で1.88(95%信頼区間〔CI〕:1.06-3.35、P=0.031)、4年時点で1.83(95%CI:1.19-2.81、P=0.006)、6年時点で1.50(95%CI:1.03-2.19、P=0.035)、8年時点で1.43(95%CI:1.01-2.02、P=0.046)だった。

 Londahl氏は、以上の成績から、「心血管疾患患者にどの程度の血糖コントロールを推奨すべきか否かについては議論がある。今回の研究で、足部潰瘍を有するこれらのハイリスク糖尿病患者では、ベースライン時の心血管疾患合併率が同程度だったにもかかわらず、HbA1c低値群の方が死亡率が高いことが示唆された」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)