スロベニア・Trbovlje総合病院のJasna Klen氏

 2型糖尿病治療に広く用いられるメトホルミンがビタミンB(VB)12欠乏症と関連することが指摘されている。スロベニア・Trbovlje総合病院のJasna Klen氏らはメトホルミン長期服用患者におけるVB12欠乏症、およびVB12欠乏による末梢神経障害の罹患率を検討した結果、メトホルミンによるVB12欠乏が末梢神経障害と関連していることを確認。6月12日までフィラデルフィアで開催された米国糖尿病学会(ADA2012)で発表した。

 対象はメトホルミンを4年以上服用している2型糖尿病患者135人(男性58%)。平均年齢は63.8歳、87%が非喫煙者だった。糖尿病罹病期間は平均10.8年、HbA1cは7.0%。対象患者のメトホルミン服用量は2171.1mg/日、メトホルミン服用期間は5.9年だった。

 血清中で測定したVB12濃度は平均214.2pmol/L。正常範囲(250 pmol/L以上)は35例(26%)にとどまり、23例(17%)はVB12欠乏症(<125pmol/L)、77例(57%)は境界域(125-250pmol/L)と診断された。VB12濃度低値はプロトコルに沿って診断した末梢神経障害発症の頻度と有意に関連することも確認された(P=0.002)。

 VB12濃度と患者背景の関連をみたところ、VB12濃度はメトホルミン服用期間が長くなるほど、また年齢が上がるほどに直線的に低下していることが分かった。メトホルミン服用量が多いほど、また糖尿病罹病期間が長いほどにVB12濃度が低くなる傾向も認められた。

 分散分析(ANOVA)で検定したところ、メトホルミン服用によるVB12濃度低下と末梢神経障害発症は有意に関連することが明らかになった(F=0.252、P=0.002)

 Klen氏らは、「高齢で長期間メトホルミン治療を受けている患者ほど、VB12欠乏に陥りやすい傾向がある。VB12欠乏は神経障害の発症とも関連している」と結論。VB12欠乏による末梢神経障害が起こっても糖尿病性神経障害と誤診されることが多いという問題を挙げ、注意を促している。

(日経メディカル別冊編集)