カナダUniversity of TolontoのBernard Zinman氏

 超持効型のインスリン デグルデク(以下、デグルデク)は持効型のインスリン グラルギン(以下、グラルギン)に比べ、同等の血糖コントロール下において低血糖発現頻度が低いこと、なかでも夜間低血糖の発現頻度は大きく低下することが明らかになった。これはメタ解析の結果として示されたもので、カナダUniversity of TolontoのBernard Zinman氏らが6月8日から12日まで米国フィラデルフィアで開催された第72回米国糖尿病学会(ADA2012)で発表した。

 今回Zinman氏らは、低血糖リスクに関してデグルデクとグラルギンを比較するため、7つの第3相試験のデータを用いて解析を行った。解析に使用した臨床試験は、1型糖尿病を対象としたものが2試験、2型糖尿病を対象としたものが5試験で、試験期間は26週間あるいは52週間だった。いずれの試験も無作為化多施設共同のオープンラベル試験で、treat-to-target方式が採用されていた。

 確定低血糖は、援助を必要とした、あるいは血糖値56mg/dL未満の低血糖とした。夜間確定低血糖は、午前0時1分から午前5時59分までの確定低血糖と定義した。また、0〜15週はインスリン投与量調節期間、16週から試験終了までを維持期間とした。

 本メタ解析の対象となった患者はデグルデク群が2899例、グラルギン群が1431例で、そのうち1型糖尿病患者はデグルデク群637例、グラルギン群321例、2型糖尿病患者はそれぞれ2262例、1110例。さらに、2型糖尿病患者のうちインスリン治療を受けたことがない患者はそれぞれ1290例、632例だった。

 インスリン治療を受けたことがない2型糖尿病患者における発現頻度については、確定低血糖がデグルデク群はグラルギン群より17%有意に低かった。同様に、夜間確定低血糖は36%、重度の低血糖は86%それぞれ有意に低かった。さらに、調節期間と維持期間に分けて見ると、維持期間ではリスクがより低下し、確定低血糖は28%、夜間確定低血糖は49%と有意な低下だった。これを基に試算すると、100人の糖尿病患者をグラルギンからデグルデクに変えた場合、1年間で確定低血糖が50件(うち夜間確定低血糖が20件)回避できることになる。

 すべての2型糖尿病患者で発現頻度を見ると、デグルデク群の方が確定低血糖は17%、夜間確定低血糖は32%それぞれ有意に低かったが、重度の低血糖は有意差がなかった。維持期間においては、確定低血糖は25%、夜間確定低血糖は38%とより発現率が下がり、いずれも有意な差があった。同様に、ベーサルボーラス療法の100人の糖尿病患者をグラルギンからデグルデクに変えたとすると、1年間で確定低血糖が326件(うち夜間確定低血糖が71件)避けられる計算となる。

 1型糖尿病患者での発現頻度については、有意差が認められたのは維持期間における夜間確定低血糖のみで、デグルデク群の方が25%有意に低かった。他はすべて有意差が認められなかった。

 1型と2型の糖尿病患者を合わせた本メタ解析の全患者における発現率を見ると、確定低血糖は9%、夜間確定低血糖は26%、いずれもデグルデク群で有意に低下していたが、重度の低血糖は有意差がなかった。調節期間に限ると、確定低血糖は有意な差はなかったが、夜間確定低血糖はデグルデク群で14%有意に低かった。一方、維持期間では、確定低血糖は16%、夜間確定低血糖は32%と、いずれもデグルデク群で有意に低下していた。

 これらの結果を踏まえてZinman氏は、「同レベルのHbA1cの下において、デグルデクはグラルギンと比較して低血糖の発現頻度は低いことが確認された。特に夜間低血糖の発現頻度における差が大きく、1型でも2型においても結果はほぼ一貫していた」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)