ミネソタ大学のAndrew O. Odegaard氏

 約18年の追跡調査の結果、朝食を週7日(毎日)食べる人は、週3回以下の人と比べ、2型糖尿病発症リスクが34%減少する。しかし、黒人女性においては、朝食の摂取頻度にかかわらず、2型糖尿病発症率が高い。6月12日まで米国フィラデルフィアで開催された米国糖尿病学会(ADA2012)で、ミネソタ大学のAndrew O. Odegaard氏がこんな調査結果を発表した。

 Odegaard氏らは、朝食の摂取頻度と2型糖尿病発症率の関係について検討した。対象は、18〜30歳の白人または黒人で、糖尿病未発症の3598人(黒人と白人の比率はほぼ同等)。データは、心血管疾患リスク因子を検討する前向き多施設共同試験CARDIAの7年時点(1992〜93年)のデータを元に登録。1日摂取カロリーが男性800〜8000kcal、女性600〜6000kcalの人を追跡した。

 病歴、心理社会的要素、身体活動、食生活の状態などについて、臨床検査と質問票をもとにデータを集めた。食生活については、試験開始年、7年後、20年後に質問者によるインタビューを行い、朝食、間食、ファーストフードの摂取状況などを調べた。追跡は、1992〜93年から2010〜11年までの約18年(CARDIA 7-25年のデータ)。

 2型糖尿病の診断は、空腹時血糖126mg/mL以上、食後2時間血糖値 200mg/mL以上、HbA1c値 6.5%以上、糖尿病薬による治療が認められた場合のいずれかとした。

 ハザード比は、年齢、施設、人種、性別、教育歴、喫煙歴、身体活動状況、アルコール摂取状況、ファーストフード摂取頻度、食生活の質の指標、摂取カロリー、食事頻度で調整した。

 朝食の頻度によって参加者を分けると、週0〜3回群が1556人、週4〜6回群が779人、週7回群が1263人。各群の平均年齢は、24.8〜25.4歳、1日の摂取カロリーは、2743〜2765kcalだった。

 朝食の頻度別に参加者の背景を見ると、1日当たりのアルコール摂取量は、週0〜3回群が12.4mL、週4〜6回群が10.2mL、週7回群が8.7mL、現在喫煙率はそれぞれ34.9%、23.0%、15.8%。BMIは、週0〜3回群が27.9kg/m2、週4〜6回群が26.7kg/m2、週7回群が25.1kg/m2、1週間当たりのファーストフード摂取回数は、それぞれ3.6回、3.5回、2.3回だった。

 約18年にわたる追跡の結果、2型糖尿病の発生率(1年間1000人当たり)は、週0〜3回群が6.7、週4〜6回群が4.5、週7回群が3.3。週0〜3回群を参照とした2型糖尿病発症のハザード比は、週4〜6回群が0.76(95%信頼区間:0.58‐0.98)、週7回群が0.66(0.51-0.86)となり、週7回群は週0〜3回群よりリスクが34%低かった。朝食の回数が多いほうが2型糖尿病発症リスクが有意に減少することが分かった(P<0.001)。ただし、BMIで調整すると、この傾向は弱まり、有意なリスク減少は見られなかった。

 人種別に検討した結果、黒人女性においては2型糖尿病発症率が高く、朝食の摂取回数による差は見られなかった。黒人女性における2型糖尿病の発生率(1年間1000人当たり)は、週0〜3回群が7.6、週4〜6回群が7.1、週7回群が7.1。ハザード比は、週4〜6回群が0.97(95%信頼区間:0.64‐1.47)、週7回群が1.00(同0.66-1.50)となり、リスクの有意な変化は見られなかった。

 一方、黒人男性と白人女性・男性における2型糖尿病の発生率(1年間1000人当たり)は、週0〜3回群が6.2、週4〜6回群が3.7、週7回群が2.6。2型糖尿病のハザード比は、週4〜6回群が0.64(95%信頼区間:0.45‐0.89)、週7回群が0.54(同0.39-0.75)となり、朝食の回数が多いほうが2型糖尿病発症リスクが減少した(P<0.0001)。

 黒人女性の結果についてOdegaard氏は、「ほかの群と比べ、平均BMIが29kg/m2と高く、食生活の質の低さや朝食を摂る機会の少なさが、2型糖尿病発症率を上昇させたのではないか」と指摘。また、今回の結果について、「朝食の摂取は、2型糖尿病発症に関係する代謝経路に対し、強力で多面的な影響を与えていることが示唆された」と語った。

(日経メディカル別冊編集)