関西電力病院院長の清野裕氏

 日本人2型糖尿病患者に対し、新規の糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬ルセオグリフロジン(TS-071)を12週間投与した結果、HbA1c値、空腹時血糖値、食後2時間後血糖値、体重、収縮期血圧が有意に減少したことが示された。用量2.5mg以上では、同様の血糖コントロール効果が得られた。主な有害事象は頻尿・多尿だったが、軽度。低血糖は見られなかった。関西電力病院院長の清野裕氏が、6月8日から米国フィラデルフィアで開催中の米国糖尿病学会(ADA2012)で発表した。

 SGLT2(sodium-glucose co-transporter 2)阻害薬は、尿細管での糖の再吸収を阻害することで血糖値を下げる薬剤。これまでの探索的試験結果から、ルセオグリフロジンを1日0.5〜5mg投与すると、HbA1c値とそのほかの血糖コントロール指標を改善することが報告されている。

 今回の試験は、日本人2型糖尿病患者を対象に経口薬のSGLT2阻害薬ルセオグリフロジン単剤投与の安全性、有効性を検討するための無作為化二重盲検プラセボ対照用量反応性試験。対象は、HbA1c値が6.9〜10.4%、空腹時血糖値が126mg/dLの日本人2型糖尿病患者280人。6週間の観察後、ルセオグリフロジン1mg群(55人)、2.5mg群(56人)、5mg群(54人)、10mg群(58人)、プラセボ群(57人)にランダムに割り付け、1日1回、12週間投与した。

 主要評価項目は、12週投与後におけるプラセボ群と比較したHbA1c値の変化量。副次評価項目は、空腹時血糖値、ミールテスト2時間後血糖値、体重の変化量。

 ベースラインにおける患者背景の各群の平均は、HbA1c値が7.77〜8.05%。空腹時血糖値は149.3〜158.9mg/dL、2時間後PPGは245.2〜257.7mg/dL。体重は61.0〜72.6kg。

 ルセオグリフロジンを12週間投与した結果、HbA1c値、空腹時血糖値、2時間後血糖値はいずれも有意に減少した(P<0.05)。

 ルセオグリフロジン12週間投与後におけるプラセボ群とのHbA1c値の差は、ルセオグリフロジン1mg群が-0.52%、2.5mg群が-0.65%、5mg群が-0.69%、10mg群が-0.66%。

 プラセボ群との空腹時血糖値の差は、ルセオグリフロジン1mg群が-19.6mg/dL、2.5mg群が-27.6mg/dL、5mg群が-30.1mg/dL、10mg群が-30.1mg/dL。食後2時間後血糖値の差は、1mg群が-49.8mg/dL、2.5mg群が-60.0mg/dL、5mg群が-60.5mg/dL、10mg群が-48.6mg/dLだった。

 体重の差は、それぞれ-0.96kg、-1.54kg、-2.12kg、-2.05kg。

 収縮期血圧はいずれの用量においても、脈拍数の変化なく有意に低下し、1mg群が-4.9mmHg、2.5mg群が-5.2mmHg、5mg群が-4.8mmHg、10mg群が-6.8mmHgだった。

 有害事象は、全ての用量群において同様の傾向だったほか、低血糖(血糖値が70mg/dL未満)は観察されなかった。

 治療に関連した有害事象の発生率は、1mg群が18.2%、2.5mg群が16.1%、5mg群が16.7%、10mg群が24.1%。うち、重篤な有害事象の発生率はそれぞれ0%、1.8%、1.9%、0%。治療中止にいたる有害事象は、2.5mg群で1人、5mg群で2人、10mg群で1人において観察された。

 ルセオグリフロジン群における主な有害事象は頻尿・多尿、上咽頭炎。頻尿・多尿の発現率は1mg群が5.5%、2.5mg群が10.7%、5mg群が7.4%、10mg群が8.6%だった。

 これらの結果から清野氏は、「ルセオグリフロジンは血糖コントロールと体重を改善させることが確認された。また、2.5mg以上の用量では、血糖コントール効果は同等で、これまでの探索試験結果と同様の安全性を確認できた」としている。

(日経メディカル別冊編集)