ノボノルディスクファーマ社のPer Clauson氏

 日本を含むアジア国際共同試験で、超持効型インスリン製剤インスリン デグルデク(以下、デグルデク)は良好な血糖コントロールを実現するとともに、低血糖発現頻度を軽減する可能性があることが報告された。6月8日から12日まで米国フィラデルフィアで開催中の第72回米国糖尿病学会(ADA2012)で、ノボノルディスクファーマ社のPer Clauson氏らが発表した。

 対象は、経口糖尿病薬では血糖コントロールが不十分なアジア系の2型糖尿病患者435例。本試験は、持効型インスリン製剤のインスリン グラルギン(以下、グラルギン)を対照薬とし、デグルデクの有効性と安全性を検討するオープンラベルの非劣性試験。目標とする空腹時血糖値を達成するようにインスリン投与量を調整するtreat-to-target方式で行われた。

 登録条件は、年齢18歳以上(日本人は20歳以上)、6カ月以上の2型糖尿病歴、試験前に3カ月以上の経口糖尿病薬による治療、インスリン療法未実施、HbA1cが7〜10%(NGSP値)、BMIが35kg/m2以下。これらの患者を、既に処方されている経口糖尿病薬の用量および投与法を継続することを前提に、デグルデクを併用する群(デグルデク群、289例)とグラルギンを併用する群(グラルギン群、146例)に2対1になるよう無作為に割り付けた。なお、既処方薬のうち、DPP-4阻害薬は無作為化時に中止した。

 登録患者を国別に見ると、韓国32.6%、日本30.6%、マレーシア12.6%、タイ9.9%、香港7.1%、台湾7.1%だった。

 試験開始時、デグルデク群はデグルデク10Uを夕食開始時から就寝時までの間に投与し、グラルギン群はグラルギン10Uを各国の承認内容に従い投与した。インスリンの投与量は、朝食前の自己血糖測定値90mg/dL未満を目標値とし、朝食前の自己血糖測定値 の3日間平均値に基づき週単位で調整した。

 主要評価項目は、デグルデク群におけるベースラインから26週時までのHbA1c改善度、副次評価項目は空腹時血糖値と体重とした。確定低血糖を自己血糖測定値56mg/dL未満である場合、または他者から援助を要した重度のエピソードとし、また午前0時01分から午前5時59分の確定低血糖を夜間確定低血糖とそれぞれ定義した。

 26週間の治療を終え解析対象となった患者は、デグルデク群で89%、グラルギン群で93%。HbA1c値については、デグルデク群ではベースラインの8.4%が26週後は7.2%に、グラルギン群では8.5%が7.1%にそれぞれ低下した。その結果、低下幅の差は0.11%(95%信頼区間:−0.03〜0.24)で、デグルデク群のグラルギン群に対する非劣性が示された。

 空腹時血糖値は、デグルデク群ではベースラインの152mg/dLから99.9mg/dLに、グラルギン群では156mg/dLから101.8mg/dLにそれぞれ低下し、両群の低下幅に有意な差は見られなかった。確定低血糖を来さずにHbA1c値7%未満を達成した患者の割合も、両群間に差はなかった。

 試験期間全体における確定低血糖の推定累積発現頻度については、デグルデク群は3.0件/患者・年とグラルギン群の3.7件/患者・年に比べて18%低かった。投与16週以降を対象としたpost-hoc解析(事後解析)では、デグルデク群のグラルギン群に対する確定低血糖発現リスク比は0.63(95%信頼区間:0.42〜0.94、P=0.0242)で、グラルギン群より37%有意に少なかった。

 夜間の確定低血糖の推定累積発現頻度に関しては、デグルデク群が0.8件/患者・年でグラルギン群の1.2件/患者・年に比べて38%少なかった。投与16週以降の解析では、デグルデク群のグラルギン群に対する発現リスク比は0.52(同:0.27〜1.00、P=NS)だった。

 試験終了時のインスリン投与量は、デグルデク群は19U(0.28 U/kg)で、グラルギン群の24U(0.35 U/kg)に比べて少なかった。

 Clauson氏は以上の結果を基に、「デグルデクはグラルギンに比べ、全日および夜間の確定低血糖が少ない傾向が示され、確定低血糖については16週以降の維持期において有意に少なかった」と語った。

(日経メディカル別冊編集)