米国Novo Nordisk社のJason Brett氏(右)とNaum Khutoryansky氏(左)

 ヒトGLP-1アナログ製剤のリラグルチド1.8mgの投与により、体重増加と低血糖を来すことなくHbA1c(NGSP値)7%未満を達成できる可能性の高い患者像は、「試験開始時のHbA1c値が8.5%未満、前治療が食事療法または経口糖尿病薬の単剤療法、女性、糖尿病歴が4.9年未満」であることが分かった。7つの第3相試験に登録された患者を、再帰分割分析(recursive partitioning analysis)という手法によって検討した結果として示されたもの。6月8日から12日まで米国フィラデルフィアで開催中の第72回米国糖尿病学会(ADA2012)で、米国Novo Nordisk社のJason Brett氏、Naum Khutoryansky氏らが発表した。

 リラグルチドの第3相試験LEAD-1〜6、Lira-DPP-4において、同薬はHbA1c値を最大1.5%、空腹時血糖を最大43.2mg/dL、体重を最大3.4kg、それぞれ低下させることが示された。本検討では、このような治療効果を有する同薬によって反応する患者像を同定するため、再帰分割分析という手法を用いた。

 再帰分割分析は、変数の値に基づいて対象者を逐次2分していくことによって、同定感度が最高になる変数の組み合わせを求める方法。つまり、事前に規定した複合エンドポイントを最も達成するように、それぞれの因子において患者を2分していくことを順に繰り返して枝分かれさせながら分類ツリーを作成し、最終的に治療に最も反応する患者のサブグループを同定する。

 今回、事前に規定した複合エンドポイントは、「治療26週後において、HbA1cが7%未満、体重増加なし、低血糖なし(血糖値56mg/dL未満で援助または自己治療を要するエピソードなし)」。予測変数の候補は、年齢、人種、性別、身長、前治療、糖尿病歴、体重、BMI、HbA1c値、空腹時血糖、膵β細胞機能の指標であるHOMA-β、インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IR、空腹時Cペプチド、プロインスリン/インスリン比、収縮期血圧、拡張期血圧だった。なお、これらの症例はすべて、食事運動療法または何らかの経口糖尿病薬での治療を受けていた。

 7つの試験においてリラグルチド1.8mgによる治療を受けた1530例のうち、34%が複合エンドポイントを達成していた(日本での最大用量は0.9mg)。この達成率は、他の治療薬に比べて最も高かった。

 この1530例の患者に対し再帰分割分析を行ったところ、治療への反応性が高まるのは、「試験開始時のHbA1c値が8.5%未満、前治療が食事療法または経口糖尿病薬の単剤療法、女性、糖尿病歴が4.9年未満」であることが判明した。これらの条件をすべて満たした患者群では、74%がリラグルチド1.8mg投与によって複合エンドポイントを達成していた。一方、複合エンドポイントの達成率が最も低かった患者群は「試験開始時のHbA1c値が8.5%以上、前治療が経口糖尿病薬の併用療法」で、達成率は14%だった。

 Brett氏らは、今回の分析法は妥当性の検証を要するといった限界点を指摘した上で、「こうした分析で治療反応性を規定する予測因子を同定できれば、臨床医にとって、2型糖尿病患者に対する個別化治療の助けになる可能性がある」と語った。

(日経メディカル別冊編集)