米Colorado School of Pablic Health and Barbara Davis Center of Childhood DiabetesのFrederiksen B.氏

 小児期の1型糖尿病の発症および進行には、複数の食品と、それらを与え始める時期が複雑に関与している可能性が示された。6月8日からフィラデルフィアで開催されている米国糖尿病学会(ADA2012)で、米Colorado School of Pablic Health and Barbara Davis Center of Childhood DiabetesのFrederiksen B.氏らが発表した。

 Frederiksen氏らのグループは以前、1型糖尿病の遺伝的リスクが高い小児におけるコホート研究であるDAISY試験から、複雑な普通分娩(complicated vaginal delivery)と、穀物の早期導入(0から3カ月)および後期導入(7カ月より後)は、膵島における自己免疫の増加に関連すると報告している。今回は、周産期と幼児期における様々な食物の摂取が1型糖尿病の発症および進行に関連していたかどうかについて、同研究のデータから調査した。

 対象は、DAISY出生コホートの登録者1835人。そのうち、1型糖尿病発症は53人だった(診断時の年齢は平均8.2歳、女性49.1%)。非罹患の子供のフォローアップ終了の年齢は平均8.6歳、女性48.7%。各食品について、最初の摂取が4カ月齢未満だった群を早期群、6カ月齢以上だった群を遅延群とし、4〜5カ月齢だった群を対照群とした。幼児の食事について、電話もしくは対面で、子どもの月齢が3、6、9、12、15カ月のときに聞き取った。

 1型糖尿病発症と周産期における各種の因子との関連を、HLA遺伝子型、母親の年齢および学歴で調整したハザード比(aHR)を求めた。その結果、出生時体重のaHRは0.92(95%信頼区間[95%CI]:0.55-1.53)だった。9カ月時点での体重増加率のaHRは1.02(95%CI:0.84-1.25)、2年時点での体重増加率のaHRは0.97(95%CI:0.63-1.51)、出生時期(9月から2月)のaHRが0.69(95%CI:0.39-1.21)、妊娠中の母親の喫煙のaHRが1.23(95%CI:0.48-3.12)。いずれも有意なリスク上昇は見られなかった。出産方法については、通常の普通分娩を参照とすると、複雑な普通分娩のaHRは1.96(95%CI:1.06-3.62)、帝王切開のaHRは0.83(95%CI:0.37-1.86)。複雑な普通分娩のみ有意なリスク上昇が見られた。

 各食品の導入のタイミングと1型糖尿病の発症リスクの関係を調べると、早期群と遅延群で差が大きかったのは、穀物(小麦、大麦、麦、米)、米や麦を含む食物、果物(フルーツジュースを除く)だった。穀物において、対照群と比較した早期群のaHRは 1.81(95%CI:1.03-3.20、P=0.04)だったのに対し、遅延群ではaHR 3.37(95%CI:1.58-7.16、P=0.002)。米や麦を含む食物では、早期群のaHR 1.69(95%CI:0.96-2.98)に対し、遅延群ではaHR 2.87(95%CI:1.37-6.03、P=0.01)。果物(フルーツジュースを除く)では逆に、早期群のaHR 2.37(95%CI:1.22-4.62、P=0.01)に対し、遅延群のaHRは0.99(95%CI:0.49-1.98)だった。

 母乳および牛乳については、授乳期間などの違いによるリスクの変化は見られなかった。小麦/大麦の導入時に母乳を授乳していた場合だけ、していなかった場合と比較してaHRは0.48(95%CI:0.26-0.89、P=0.02)で、有意なリスク上昇が見られた。

 乳児期における食品摂取の状況など、1型糖尿病発症の独立したリスクとなる因子を調べると、有意なリスク因子として挙がったのは、HLA-DR3/4およびDQB10302といった遺伝子型(aHR:5.82、95%CI:3.14-10.77、P<0.0001)、父親もしくは兄弟が1型糖尿病(aHR:5.60、95%CI:3.05-10.25、P<0.0001)、複雑な普通分娩(aHR:1.97、95%CI:1.04-3.74、P=0.04)、大麦/小麦の導入時に母乳を授乳(aHR:0.44、95%CI:0.25-0.78、P=0.005)などだった。

 これらの結果からFrederiksen氏は、「幼児の食事と1型糖尿病の発症に関する研究の多くは、牛乳やグルテンなど単一の抗原に焦点が置かれている。我々のデータは、複数の食品およびそれらの導入のタイミングが相互に複雑に関与することを示している」と今後の研究の方向性を示唆した。

(日経メディカル別冊編集)