デンマークSoborgのTrine Vang Skioth氏

 インスリン デグルデク(以下、デグルデク)は、新しい超持効型インスリン製剤として有効性と安全性の両面で注目されている。今回、デグルデクが新規の経口糖尿病薬として評価が高まりつつあるDDP-4阻害薬のシタグリプチンよりも優れた血糖改善効果を示すことが報告された。6月8日から12日まで米国フィラデルフィアで開催中の第72回米国糖尿病学会(ADA)で、デンマークSoborgのTrine Vang Skioth氏らが発表した。

 良好な血糖コントロールが糖尿病合併症発症の抑制や遅延に重要であることが、長期間追跡した多くの研究から示されている。薬物療法では、HbA1cの低下作用、低血糖リスク、体重への影響、投与量調整の簡便性などを踏まえ、具体的な投与薬剤を決められる。一方、デグルデクは皮下においてマルチヘキサマー(インスリンの6量体が長くつながった状態)を形成し、その分解が緩徐で個体内の変動幅が少なく、血糖降下作用を42時間以上持続させることが報告されている。そのため、デグルデクは1日1回投与が基本だが、投与間隔を8〜40時間で柔軟に設定できる可能性も報告されている。そこでSkioth氏らは、デグルデクとDPP-4阻害薬のシタグリプチンで有効性と安全性を検討した。

 対象は、メトホルミン、SU薬、グリニド薬、ピオグリタゾンのうち1剤または2剤併用で管理され、インスリン治療を受けたことがない18歳以上の2型糖尿病患者458例。その他の主な登録条件は、2型糖尿病の罹病期間が6カ月以上、HbA1cが7.5〜11 %、BMIが40kg/m2以下など。

 この458例を、デグルデクを追加投与する群(デグルデク群、229例)とシタグリプチンを追加投与する群(シタグリプチン群、229例)に無作為に割り付けた。両群の患者背景は同様であった。

 デグルデクの開始用量は1日1回10Uとし、投与時間は起床時から就寝時までの間で患者の要望に合わせて自由に設定できることとした。その後の投与量は、空腹時の自己血糖測定値90mg/dL未満を目標値とし、朝食前血糖値の3日間平均値によって調整した。シタグリプチンは1日1回100mg投与とした。

 26週間の試験を終えたのは、デグルデク群225例、シタグリプチン群222例で、これらが解析対象となった。なお、試験終了時におけるデグルデク群の1日の平均インスリン投与量は43U(0.5 U/kg)だった。

 HbA1cについては、両群ともに12週目までに大幅に低下し、その後ほぼ横ばいとなった。デグルデク群はベースラインの8.8%から投与26週後には7.2%に、シタグリプチン群は9.0%から7.7%に、それぞれ低下した。両群の変化量の差をANOVA法により解析し治療法、性別、年齢などで補正した結果、デグルデク群ではシタグリプチン群に比べ、0.43%より有意に低下していた(95%信頼区間:−0.61〜−0.24、P<0.0001)。

 HbA1c値7.0%未満の達成率は、デグルデク群が40.9%、シタグリプチン群では27.9%で、ロジスティック回帰分析で解析し治療法、性別、年齢などで補正した結果、オッズ比は1.60(95%信頼区間:1.04〜2.47)と、デグルデク群で有意に高かった(P=0.034)。

 空腹時血糖値に関しては、デグルデク群ではベースラインの169.9±47.4mg/dLから投与26週後には111.6±38.2mg/dLに、シタグリプチン群では178.7±55.9mg/dLから153.7±45.3mg/dLに、それぞれ低下した。両群の空腹時血糖値の低下量をANOVA法により求め治療法や性別、年齢などで補正したところ、デグルデク群の方が39.07mg/dL、有意に低下量が大きかった(95%信頼区間:−46.75〜−31.39、P<0.0001)。

 低血糖については、デグルデク群226例とシタグリプチン群228例が解析対象となった。重度の低血糖はデグルデク群で1例認めたのみだった。血糖値56mg/dL未満または重度と判定された低血糖を確定低血糖とし、26週間における確定低血糖の発現頻度を算出したところ、デグルデク群は3.1件/患者・年、シタグリプチン群は1.3件/患者・年で、オッズ比は3.81(95%信頼区間:2.40〜6.05)とデグルデク群で有意に多かった(P<0.0001)。一方、26週間における夜間確定低血糖の発現頻度は、デグルデク群0.52件/患者・年、シタグリプチン群0.30件/患者・年で、両群間に有意差は認められなかった(P=0.09)。

 Skjoth氏は以上の結果を踏まえ「デグルデクは2型糖尿病患者の血糖コントロールにおいて、DPP-4阻害薬のシタグリプチンを上回る成績を示した。低血糖はデグルデク群でやや多かったが、夜間低血糖は両群に有意差はなかった。注射時間を厳格に設定する必要がないデグルデクは、血糖管理をより容易にするのではないか」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)