コロンビア大学のTiffany L. Gary-Webb氏。

 白人と比べ、ヒスパニックや黒人の糖尿病発症ハザード比はそれぞれ2.09と1.54。ニューヨーク市のマンハッタン地区の住民を対象としたコホート研究、NOMAS(the Northern Manhattan Study)で、ヒスパニックや黒人の糖尿病発症リスクの高さが示されるとともに、糖尿病のリスク因子が人種間で異なることも明らかになった。コロンビア大学のTiffany L. Gary-Webb氏が6月8日から米国フィラデルフィアで開催中の米国糖尿病学会(ADA2012)で発表した。

 NOMASは、様々な人種が居住するニューヨーク市マンハッタン北部地区の住民を対象に、脳卒中などの血管疾患の発症とリスク因子、転帰などを検討することを目的にした前向きコホート研究。Gary-Webb氏は、白人、黒人、ヒスパニックの糖尿病リスク因子の違いについて、この研究のデータをもとに検討した。

 解析の対象としたのは、登録時に糖尿病を発症していない40歳超の2498人。毎年、電話で糖尿病発症状況について調査した。追跡期間は1993-2009年で、中央値は9年間。うち、14.1%(351人)が2009年までに糖尿病を発症した。

 対象者の背景は、平均年齢69±10歳で、女性が63%。白人が23%、黒人が23%、ヒスパニックが52%を占めた。71%が高血圧を有し、HDLコレステロールの平均は48±15mg/dLだった。

 糖尿病発症ハザード比は、年齢、性別、学歴、保険加入状況、ウエスト・ヒップ比、適度な飲酒、現在の喫煙状況、身体活動、高血圧、HDLコレステロールで調整。その結果、白人と比べ、ヒスパニックの糖尿病発症ハザード比は2.09(95%信頼区間:1.32-3.32)、黒人は1.54(0.97-2.45)だった。

 人種別に糖尿病発症リスク因子を検討すると、白人において最も強いリスク因子として検出されたのは、現在の喫煙状況。糖尿病発症ハザード比は5.22だった(1.99-13.69、P=0.01)。黒人とヒスパニックでは、有意なリスク因子とは確認されなかった。

 また、ウエスト・ヒップ比による糖尿病発症ハザード比(1SD当たり)は、白人で1.67(1.28-2.19)、ヒスパニックで1.31 (1.14-1.50)で、有意なリスク因子として検出された(P<0.05)。黒人では有意なリスク因子とはならなかった。

 「適度な飲酒」は、白人においてハザード比0.30。有意な防御因子であることが示された(P<0.05)。黒人、ヒスパニックでは有意なリスクとは認められなかった。

 これらの結果からGary-Webb氏は、「1つの地域の住民コホート研究において、人種による糖尿病発症リスクの不均一性が示された」と述べ、リスク因子の違いの背景の検討の必要性を示唆した。

(日経メディカル別冊編集)