Oregon Health and Science UniversityのMatthew C. Riddle氏

 インスリン導入にあたり、より有効かつ安全なレジメンを検討したAll to Target試験では、混合型インスリン製剤の1日2回投与に対して、インスリングラルギン(以下、グラルギン)をBasalとして超速効型のインスリングルリジン(以下、グルリジン)を1日1回まで追加投与するレジメンの非劣性が明らかにされた(関連記事)。Oregon Health and Science UniversityのMatthew C. Riddle氏(写真)らは、同試験におけるグルリジンの追加投与回数と目標HbA1c値の達成率との関係を解析し、その結果を、6月に米サンディエゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2011)で発表した。

 Riddle氏は、同試験の結果の中で、Basalにグラルギン、段階的にグルリジンを追加投与する群において、グルリジンの投与回数に着目した。HbA1c値7%未満を達成する上で、グルリジンを段階的に1回まで投与できるG+0-1群(n=189)と、同様に3回まで投与できるG+0-3群(n=191)のいずれにおいても、多くの患者が追跡期間中に最低1回のグルリジンの追加投与を必要としていた(各73%、61.3%)。

 またG+0-3群では、38%が2回以上、17%が3回のグルリジンを追加投与されていた。一方、G+0-1群の27.3%と、G+0-3群の38.7%が、グルリジンの追加投与を要さなかった。G+0-1群の多く(73%)と、G+0-3群のほぼ4分の1(23.2%)が、グルリジン1回の追加投与で目標HbA1c値を達成した。

 これらの結果を受け、Riddle氏は2つの点を指摘した。1つは、G+0-1群では、低血糖発現率を含め全体として、G+0-3群と同等の良好な治療成績が得られたこと。この点に関して同氏は、「実臨床において、混合型インスリンではなく、グラルギンに加えグルリジンを1回投与するレジメンをもっと広めていかなければならない」と述べた。

 もう1つは、G+0-3群で、3回のグルリジン追加投与にもかかわらず目標HbA1c値を達成できなかった難治性と考えられる患者が存在することだ。「食事による血糖上昇に対する積極的な治療でも、目標値を達成できなかった難治性の患者に対する何らかの治療法を見つけ出さなければならない」と同氏はコメントした。

 さまざまな治療法が実臨床で採用されているにもかかわらず、良好な血糖コントロールを得られない難治性の患者においては、現在までに明らかになっていない何らかの原因が潜んでいる可能性がある。Riddle氏は、「All to Target試験の解析をさらに進めるとともに、新たな研究に取り組んでいくことで、その原因と対策を明らかにしていきたい」との見解を示した。

(日経メディカル別冊編集)