米Retina Vitreous Associates Medical GroupのDavid S. Boyer氏

 糖尿病性黄斑浮腫による視力障害に対しラニビズマブを投与することで、およそ3〜4割の人に、24カ月後に読むことができる標準視力検査表の文字が15字以上増えるといった顕著な視力向上が認められた。これは、米Retina Vitreous Associates Medical GroupDavid S. Boyer氏(写真)らが行った抗VEGF薬であるラニビズマブの治験第III相「RIDE」と「RISE」の結果、明らかになったもの。6月24日から28日まで米サンディエゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2011)のセッション「Late Breaking Clinical Studies」で発表した。

 「RIDE」と「RISE」では、糖尿病性黄斑浮腫によって視力低下が認められる18歳以上の合わせて759人について、多施設共同無作為化二重盲プラセボ対照試験を行った。被験者の最高矯正視力は20/40〜20/320(スネレン等価視力)だった。

 研究グループは被験者を無作為に3群に等分し、ラニビズマブ0.3mg、ラニビズマブ0.5mg、偽の注射(シャム;硝子体内投与の代わりに針のないシリンジを局所麻酔下で眼球に押し付け、注射以外は同じ処置を行う)を、それぞれ月に1度行った。被験者は、試験開始3カ月以降から、黄斑レーザー術を受けてもよいことにした。

 主要評価項目は、治療開始24カ月後に、最高矯正視力で標準視力検査表で読むことのできる文字数が、試験開始時に比べ15文字以上増えた人の割合だった。

 その結果、24カ月後に標準視力検査表で読める文字数が15文字以上増えた人の割合は、RIDEではラニビズマブ0.3mg群では33.6%、ラニビズマブ0.5mg群では45.7%と、シャム群の12.3%に対し、いずれも有意に高率だった(いずれもp<0.0001)。またRISEでも、ラニビズマブ0.3mg群では44.8%、ラニビズマブ0.5mg群では39.2%と、シャム群の18.1%に対し、いずれも有意に高率だった(それぞれp<0.0001、p=0.0002)。

 24カ月後のETDRS視力表による最高矯正視力の試験開始時点からの改善幅も、両試験でラニビズマブ群の方がシャム群に比べ大きく、ラニビズマブ群が10.9〜12.5に対し、シャム群は2.3〜2.6だった。

 また、24カ月後にスネレン等価視力が20/40以上に改善した人の割合は、RIDEではラニビズマブ0.3mg群が54.4%、ラニビズマブ0.5mg群では62.2%と、シャム群の34.6%に対し、いずれも有意に高率だった。またRISEでも、ラニビズマブ0.3mg群では60.0%、ラニビズマブ0.5mg群では63.2%と、シャム群の37.8%に対し、いずれも有意に高率だった。

 なお、血管死や原因不明の死亡、非致死心筋梗塞、非致死脳卒中といった有害事象の発症率は、ラニビズマブ群が2.4〜8.8%に対し、シャム群が4.9〜5.5%と、有意差はなかった。

 これらの結果からBoyer氏は、「糖尿病性黄斑浮腫の視力障害に対して、ラニビズマブ投与が新たな標準的治療になる可能性がある」と語った。

(日経メディカル別冊編集)