米Rosalind Franklin大学のStephanie C.S.Wu氏

 糖尿病患者下肢浮腫対策として、軽度の圧迫靴下の着用を試みたところ、浮腫が軽減できることが示された。米Rosalind Franklin大学のStephanie C.S.Wu氏(写真)らが、6月24日から28日まで米サンディエゴで開催された米糖尿病学会(ADA2011)で発表した。

 糖尿病患者では下肢の浮腫を併発することがよくあり、それが潰瘍あるいは感染症につながる危険がある。圧迫治療が浮腫の標準治療であるが、糖尿病患者の50%は併存疾患として末梢動脈障害を持っているため、圧迫治療は禁忌であることが多い。このため、演者らは、軽度の圧迫圧(18〜25mmHg)をもたらす治療用靴下(Sigvaris社製)を利用することで、血管に悪影響を及ぼさないで糖尿病患者の浮腫を軽減することができるかどうかを評価した。

 試験には14人(男性7人、女性7人)が参加した。患者背景は、平均年齢62±10歳、糖尿病で下肢の浮腫があり、足関節上腕血圧比(ABI)が0.6以上であった。被験者の靴下の大きさをメーカーの指示に従い測定し、被験者には起きている間は靴下を着用するように指導した。フォローアップを1週間ごとに連続して4週間行った。浮腫は足の中間部、足首とふくらはぎのそれぞれの周囲長、および間質液の測定値で定量化した。血管状態はABIにより追跡した。

 反復測定の共分散分析法とLSD事後解析法を用いてデータを分析した。その結果、ふくらはぎの周囲長はたった1週間で統計的に有意に1.4±0.4cm減少した。試験中を通して常に有意に(p<0.05)、登録時よりも小さい値であった。観察期間の経過とともに、足の周囲長は緩やかに減少し、3週後と4週後で登録時よりも有意に小さい値となった(減少値は順に1.3±0.4cm、1.2±0.4cm)。足首の周囲長の平均と間質液値の平均とは、一貫して減少傾向(4週後までに順に、1.9±0.4cm、1.9±1.0)にあったが、統計的に有意ではなかった。ABIは3週目でのみ有意(p=0.01)に登録時より変化(0.16±0.05の増加)が見られた。ABIは3週目のみで登録時よりも変化があり、その時点ではABI値は上昇したが、この点について演者らは「上肢(腕)よりも下肢(脚)への血流が増加したことを示している」と考察している。

 演者らは「今回は初期的な試験であったが、軽度の治療用圧迫靴下は、糖尿病患者の下肢浮腫の軽減に役立つことが示された」と結論した。また、利用した靴下は下肢の血管状態に支障をきたさないようであったとし、今後は症例数を増やしてさらに検討を加える意向だ。

(日経メディカル別冊編集)