オランダ VU Unicersity Medical CenterのTibot RS Hajos氏

 インスリン治療2型糖尿病の治療として多くの患者で必要な治療だが、その導入による体重増加が懸念されている。しかし、体重増加はわずかで、患者の健康関連QoL(HRQoL)にも影響を与えないことが明らかになった。オランダ VU Unicersity Medical CenterのTibot RS Hajos氏(写真)らが、プライマリケアで治療中の患者データを解析した結果明らかになったもの。6月28日まで米サンディエゴで開催された米国糖尿病学会(ADA2011)で発表した。

 Hajos氏らは、363のプライマリケアで治療を受けていて、インスリンによる治療経験がない2型糖尿病患者911人について、インスリングラルギン(以下、グラルギン)による治療を開始。グラルギン導入前、3カ月後、6カ月後における体重とHRQoLを解析した。体重は、グラルギン導入前に正常体重(BMI 25未満)で、治療終了時に体重過多(BMI 25以上)の患者、導入前に体重過多(BMI 25以上)で、終了時に肥満(BMI 30以上)の患者を「体重増加」と定義した。

 HRQoLの評価には2つの指標を用いた。1つは、「WHO-5健康指標(WHO-5)」で、広く用いられている5項目からなる評価法。スコアは0-100までの数値で表され、高いほど状態が良好なことを示す。もう1つは、「糖尿病関連症状チェックリスト改訂版(DSC-r)」で34の質問からなる糖尿病関連の苦痛を表す指標。0-100までの数値で表されるスコアは、小さいほど良好なことを示す。なお解析は、年齢、性別、糖尿病罹患期間、教育レベル、合併症の数、併存症の数について補正した。

 グラルギン導入前における患者の平均年齢は62歳。女性が47%を占め、罹病期間は7年、教育レベルの低かった患者が55%、合併症数の平均は0.4、併存症の数は0.6だった。

 その結果、対象者全員について、BMIはグラルギン導入前の30.1±5.9から、3カ月後で30.2±58、6カ月後は30.5±5.8とわずかに増加した。また体重も、88±19kgから3カ月後に88±18kg、6カ月後は89±18kgとわずかに増加した。グラルギン導入によってHbA1c値は、8.3%、7.6%、7.3%へと有意に改善した。またDSC-rスコアは12から、8、8、WHO-5スコアは57から63、65へと、いずれも有意に改善が認められた(ともに、p<0.05)。

 すべての患者におけるWHO-5スコアは、−0.03 (95%信頼区間:−0.26-0.21、p=0.824)、およびDSC−r スコアは、0.14 (95%信頼区間:0.01-0.29、p=0.059)で、BMIとの関連性は認められなかった。またグラルギン導入前のBMI 25未満から、6カ月後に25以上の体重過多となった患者137人、同様にBMI 30未満から30以上の肥満となった患者205人でも、WHO-5、DSC-rにBMIとの関連性は認められなかった。

 これらの結果からHajos氏は、「グラルギンによるインスリン導入により,HbA1c値および健康関連QOLは改善し、BMIが増加している群でも健康関連QOLは同様に改善していた」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)