米Rosalind Franklin UniversityのBijan Najafi氏

 末梢神経障害を伴う糖尿病患者は、健康な人に比べて歩行の際の足取りが一定しない傾向にあり、靴を履くことで素足の時よりも、その傾向が改善されることが分かった。一方で、靴を履いた方が素足よりも、歩き始めに時間がかかるなど、バランスは低下するようだ。これは、米Rosalind Franklin UniversityのBijan Najafi氏(写真)らが行った試験で明らかにしたもので、6月28日まで米サンディエゴで開催されていた米国糖尿病学会(ADA2011)で発表した。

 これまでに、末梢神経障害を伴う糖尿病の人は、そうでない人の15倍に上るとする研究結果がある。Najafi氏によると、末梢神経障害を伴う糖尿病患者について、靴を履くことが有益なのかどうかは、明確にはなっていないという。

 Najafi氏らは、糖尿病歴が5年超、合併症の末梢神経障害歴が3年超の、18歳超の12人と、年齢と性別、体格指数をマッチングした対照群8人について試験を行った。試験では、体にセンサーを取り付け、素足と靴を履いたそれぞれの状態で、7メートルと20メートルの歩行をそれぞれ行った。

 その結果、素足の時には、糖尿病群では対照群に比べ足取りの一定性は劣っていた(p=0.04)。だが、靴を履くことで有意に改善し(p=0.02)、両群に差はなくなった。

 一方で、歩行速度については、素足では両群に有意差はなかったが、靴を履いた場合は、糖尿病群が有意に遅くなった。また、歩行中に両足を揃えて立つ際の不安定な状態は、糖尿病群で対照群より多く見られ(p=0.03)、靴を履いても両群の有意差は改善されなかった。さらに、糖尿病群で、歩き始めてから歩行が一定化するまでに要する歩数は、素足より靴を履いた時の方が多かった。

 Najafi氏は、「末梢神経障害を伴う糖尿病の人にとって、足取りの一定性だけでなく、バランスなどの面でも改善するにはどんな靴が良いのか、今後の研究課題だ」と語った。

(日経メディカル別冊編集)