JERRY L. PETTIS記念 VA Medical CenterのLoreen Wynja氏

 長期療養施設に入所している高齢の2型糖尿病患者に対し、Basal-Bolus療法を導入したところ、導入6日時点で8割以上が目標血糖値を達成し、低血糖の発現率も抑制ができたことが報告された。JERRY L. PETTIS記念Veterans Administration(VA) Medical Center(ロマリンダ、カリフォルニア州)のLoreen Wynja氏(写真)らが、6月24日から米サンディエゴで開催されている米国糖尿病学会(ADA2011)で発表した。

 急性期病院における2型糖尿病の管理入院患者に対するBasal-Bolus療法の導入は一般的だが、長期療養施設における検討例は多くない。長期療養施設に入所する糖尿病患者は、高齢で合併症が多く、血糖コントロールに難渋することが多い。

 今回の検討対象は、2009年10月〜2011年5月にかけて、長期療養施設VAロマリンダに入所した連続295人。Wynja氏らは、糖尿病罹患者、もしくは血糖値180mg/dL超の75人の治療として、インスリングラルギンを用いたBasal-Bolus療法による簡易なレジメンを導入し、血糖値の推移、低血糖の発現率などを検討した。

 登録時の平均年齢は66歳、96%が男性だった。平均BMIは30.9、53.5%が心血管疾患を抱えており、直近3回の平均HbA1c値は7.4、7.7、8.2%だった。平均血圧は130/71mmHg、LDLコレステロールは71.1mg/dLだった。

 登録時のBMIにより、Basal-Bolusの投与量を決定した。BMI 20未満の患者にはグラルギンを10単位、超速効型インスリンを2単位、21〜29は同様に20と4単位、30〜39は30と6単位、40以上の患者には40と10単位を投与した。グラルギンは可能な限り午前中に1回、超速効型インスリンは毎食前3回に分けて投与した。

 空腹時血糖値が160mg/dLを超える場合には超速効型インスリンを増量し、Bolusインスリン量が4単位、7単位、10単位、15単位になるよう、食前投与した。血糖値の測定は、当初は食事前に1日3回行い、患者のレジメンごとによって測定回数を減らし、その推移を評価した。電子カルテを活用することで、プロトコルに沿った治療を徹底した。
 
 その結果、患者の61人(81.3%)で、Basal-Bolus導入後平均5.8±6.9日で、3回連続の血糖値が目標値の100〜160mg/dLを達成した。追跡期間の平均24.8±17.8日(治療期間90日以上の3人を除く)で、平均空腹時血糖値は156mg/dLだった。

 追跡期間中に血糖値60mg/dL未満の低血糖を発現したのは0.6%、血糖値80 mg/dL未満では2.9%だった。

 これらの結果から、長期療養患者に対してもグラルギンベースのBasal-Bolus療法は、低血糖の発現を懸念することなく、良好な血糖コントロールが得られることが示された。Wynja氏は、「主治医に頼ることなく、糖尿病の入所者の管理が可能なことが明らかになった。Basal-Bolus療法を他のVA長期療養施設にも導入していきたい」と語った。

(日経メディカル別冊編集)