HEALTHY Studyについての記者会見

 子どもの糖尿病の発症リスクを軽減するために取り組まれた学校単位の介入プログラムに、一定の効果があることが報告された。大規模な介入試験であるHEALTHY Studyの結果により明らかになったもので、6月25日から29日まで米オーランドで開催された第70回米国糖尿病学会学術集会(ADA 2010)において、研究グループの代表である米テンプル大のGary D.Foster氏らが記者会見(写真)に臨み、その成果を発表した。

 HEALTHY Studyは、ミドルスクールの生徒を対象に学校単位で介入を行ったもの。クラスターランダム化の手法に基づき、42の学校を、学校単位の介入を実施する群(21校)と評価のみを実施する対照群(21校)に無作為に割り当てた。介入プログラムには、合計4603人の生徒が参加。介入群ではベースラインでの体格指数が85パーセンタイル未満が1147人、ベースラインでの体格指数が85パーセンタイル以上が1160人だった。一方の対照群では、それぞれ1164人、1132人だった。

 被検者の背景は全体で、平均年齢±SDが11.3±0.6歳、ヒスパニック系が54.2%、黒人が18.0%、女子が52.7%など。介入群と対照群では、特に違いは見られなかった。

 介入プログラムでは、ミドルスクールの6年生の初め(2006年秋)と8年生の終わり(2009年春)に、生徒の体格指数(BMI)、胴囲および空腹時血糖とインスリン濃度を測定し、その値を評価指標とした。

 介入方法は、栄養、運動、生活習慣の指導などから構成される。たとえば栄養面では、学校の食堂、自動販売機、教室でのパーティなど学校環境のすべてにおいて、栄養的に量と質を考慮した食物や飲み物を提供した。運動面では、1分間当たり130以上の心拍数となるような十分な運動時間を増やすこととした。生活習慣の指導においては、日常習慣の知識や技能を身につけるためのクラス単位の授業などに取り組んだ。

 介入の結果、主要転帰である体重過多と肥満(BMI≧85パーセンタイル)の複合エンドポイントの割合は、介入群と対照群の両方で減少したが、両学校群間で有意差には至らなかった。ただし、介入群では、副次的転帰のすべてで、対照群より有意に改善し(p=0.04)、肥満の有病率(p=0.05)にも大きな減少がみられた。副次的転帰は、体格指数のzスコア(肥満者の体格改善判定に用いられる年齢と性別調整肥満度指数)、胴囲が90パーセンタイル以上の生徒の割合、空腹時インスリン濃度などだった。なお、ベースラインでの体格指数が85パーセンタイル以上の生徒間でも、同様の結果が確認された。

 有害事象の発生は3%以下で、具体的にはめまいが一番多かった。ただし、有害事象の比率は、介入学校群と対照学校群とでほぼ同等だった。

 今回の総合的な学校単位の介入プログラムは、対照学校群と比較して体重過多と肥満の割合に有意な減少をもたらさなかったが、介入により体重過多と肥満のさまざまな指標を有意に改善することができた。これらの変化は、小児期に発症する2型糖尿病のリスク軽減につながるものと期待される。

(日経メディカル別冊編集)