共同演者のCentre Hospitailier Saint JosephのDminique Hurt氏

 BOTBasal supported Oral Therapy)で血糖コントロール不良の2型糖尿病患者では、Basal-Bolus療法による厳格な管理が必要とされるが、OPAL試験ではBOTに加えて食前に超速効型インスリンアナログ製剤であるグルリジンを1回投与するだけで、血糖コントロールの改善が報告された。そこで、欧州のOSIRIS Study Groupでは、持効型溶解インスリンアナログ製剤であるインスリングラルギン(以下、グラルギン)とメトホルミンを用いたBOTに、インスリングルリジン(以下、グルリジン)を段階的に投与するステップワイズ療法の有効性と安全性を、Basal-Bolus療法、ステップワイズ療法にインスリン分泌促進薬を併用する療法と比較検討する無作為化試験を実施し、その結果をフランス・Sante Marguerite大学病院Denis Raccah氏らが、6月25日から29日まで米オーランドにおいて開催された第70回米国糖尿病学会学術集会(ADA 2010)で報告した。

 対象には6カ月間の導入期に、前投与されていた経口血糖降下薬に加えて、グラルギンが1日1回投与され、導入期終了時にHbA1c値が7%を超え、空腹時血糖値が120mg/dL以下の症例を、グラルギン+グルリジン1日3回投与+メトホルミン併用のA群(144人)、グラルギン+グルリジン1日1回投与+メトホルミン併用から開始してHbA1c値が7.0%以上の場合にはグルリジン投与回数を2カ月ごとに漸増するB群(ステップワイズ療法、197人)、B群にインスリン分泌促進薬を最初から併用するC群(123人)に無作為に割り付け、オープンラベルで12カ月間投与した。

 本試験は、B群のA群およびC群に対する非劣性を検証することを目的としており、非劣性条件は比較する2群間のHbA1c値が低下したポイント差の95%信頼区間の上限値が0.4%以下とした。

 本試験の導入期には、BOT療法で血糖コントロール不良の811人が登録され、464人が無作為化試験の対象となった。その背景は年齢58.5歳(以下すべて平均値)、BMI 30.4、罹病期間12.6年、経口血糖降下薬投与歴11.4年、インスリン投与歴3.1年、HbA1c値 8.4%、空腹時血糖値105mg/dLであった。

 無作為化以降の試験期間のHbA1c値は、A群では8.5%から7.7%(変化量0.69%)に、B群では8.4%から7.9%(同0.47%)に、C群では8.3%から7.9%(同0.43%)にそれぞれ低下した。A群とB群のHbA1c値の変化量の差は0.228%(95%信頼区間;0.018〜0.473%)であり、95%信頼区間の上限値が0.4%を上回っていたため、B群のA群に対する非劣性は証明できなかった。一方、B群とC群のHbA1c値の変化量は同様であった。

 HbA1c値が7%未満に低下した患者の割合はA群27.1%、B群18.4%、C群22.4%であったが、3群間に有意差は認められなかった。また、平均血糖値はA群で最も低くコントロールされ、朝食後、夕食後にもB群、C群に比べて有意に低かった。

 血糖コントロールが良好な患者では、B群ではA群に比べて、低血糖の発現率が有意に低かった。また、体重増加はどの群でも認められたが、その程度はA群に比べてB群で小さかった。

 このように本試験では、ステップワイズ療法がBasal-Bolus療法に比べて非劣性であることは証明できなかったが、Raccah氏は、ステップワイズ療法はBasal-Bolus療法と有効性はほぼ同等で、低血糖や体重増加のリスクが少ないと述べ、そのベネフィットを指摘して発表を締め括った。

(日経メディカル別冊編集)