糖尿病患者は、糖尿病のない人に比べての発症リスクが上昇することが示された。日本で行われた研究の系統的レビューとメタ解析から明らかになったもので、国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝症候群診療部の能登洋氏らが、6月25日から29日まで米オーランドで開催されている第70回米国糖尿病学会学術集会(ADA 2010)で発表した。

 これまで、いくつかのメタ分析によって、特定の癌についてはその発症リスクに糖尿病が影響することが示されている。演者らは、成人において糖尿病の有無と癌全体の発症との関連性を検証するため、MEDLINEとCochrane Libraryから関連文献を探索し、日本で行われたコホート研究とケースコントロール研究のうち、2009年4月までに発表されていた研究報告を選び、系統的レビューとメタ解析を行った。

 拾い上げた33文献のうち12件が採用基準を満たしていた。2人の審査員が別々に適格な文献を選択した。まずこれらの文献を定性的にレビューし、その結果を定量的に集約した上で、変量効果モデルを用いてメタ解析し、3件以上の適格な試験を比較した。結果は、オッズ比と95%信頼区間で表した。

 解析の結果、4件のコホート研究と1件のケースコントロール研究で、合計2万2485件の癌の症例が報告されていた。被験者の総計は25万479人だった。これら5件の報告を用いて男女両方のすべての癌発症リスクのメタ分析を行ったところ、非糖尿病被験者に比べて糖尿病被験者でリスクが上昇していた(オッズ比1.70、95%信頼区間;1.38-2.10)。ケースコントロール研究を除いた場合、推定値にほとんど影響はなかった(オッズ比1.67、%信頼区間;1.26-2.21)。

 男女別にみても、糖尿病であることは癌リスクを上昇させていた。

 また、特定部位の癌について系統的レビューを行ったところ、糖尿病がある場合、1件以上の研究で肝臓癌、子宮内膜癌、膵臓癌、胃癌および肺癌のリスク上昇が有意に認められた。メタ分析では、肝細胞癌(オッズ比3.64、95%信頼区間;2.61-5.07)と子宮内膜癌(オッズ比3.43、95%信頼区間;1.53-7.72)のリスクが上昇することが分かった。

 これらの検討結果から演者らは、糖尿病のある人は糖尿病がない人に比べて、癌の発症リスクが高くなると結論した。その上で、世界的にみて糖尿病の有病率が増加していることを考えれば、癌の予防と早期発見は糖尿病管理の重要な要素であるなどと考察した。

(日経メディカル別冊編集)