米ハーバード大学公衆衛生大学院のLawrence De Koning氏

 動物性タンパク質と脂質が多い低炭水化物食は、男性の場合、2型糖尿病のリスクを高める可能性があるという報告があった。4万人余を20年以上にわたって追跡した研究によって明らかになった。米ハーバード大学公衆衛生大学院のLawrence De Koning氏(写真)らが、6月25日から29日まで米オーランドで開催されている第70回米国糖尿病学会学術集会(ADA 2010)で発表した。

 この研究は、男性医療従事者の疫学研究(Health Professionals Follow-up Study)の一環として取り組まれたもので、数種類の低炭水化物食と2型糖尿病の発症リスクとの関連性を明らかにすることを目的としている。

 2型糖尿病や循環器疾患あるいは癌を患っていない男性(4万1212人)を対象とし、1986年から20年以上にわたって追跡した。

 4年ごとに、食事に関するアンケートを実施し、3種類の低炭水化物食のスコアを算出した。具体的には、(1)低炭水化物・高総タンパク質/脂質スコア、(2)低炭水化物・高動物性タンパク質/脂質スコア、(3)低炭水化物・高植物性タンパク質/脂質スコアの3種類。それぞれのスコアは、タンパク質と脂質の十分位(摂取量増加にそって1から10まで)と、炭水化物の逆十分位(摂取量増加にそって10から1まで)を合計して計算した。各スコアの最大値は30であった。Cox比例ハザードモデルを使って、スコア五分位のそれぞれについて2型糖尿病の発症リスクを判断した。

 追跡期間中、糖尿病は2761人に確認された。年齢、喫煙歴、身体活動レベル、BMI、コーヒー摂取量、アルコール摂取量、糖尿病の家族歴、総エネルギーで調整後、各スコアごとに2型糖尿病リスクのハザード比(五分位分析の最上位 対 最下位)を求めたところ、高総タンパク質/脂質スコアのハザード比は1.32(95%信頼区間;1.16-1.50、p<0.0001)、高動物性タンパク質/脂質スコアのハザード比は1.41(95%信頼区間;1.23-1.62、p<0.0001)、高植物性タンパク質/脂質スコアのハザード比は0.93(95%信頼区間;0.82-1.05、p=0.44)となった。動物性タンパク質と脂質で調整後は、高総タンパク質/脂質スコアは2型糖尿病と有意に関連していなかった。

 赤身肉と加工肉で調整後は、高動物性タンパク質/脂質スコアと2型糖尿病リスクの関連性は減衰(ハザード比1.19、95%信頼区間;1.02-1.39、p=0.01)した。その一方で、鶏肉(ハザード比1.40、95%信頼区間;1.22-1.61、p<0.0001)または魚(ハザード比1.42、95%信頼区間;1.24-1.63、p<0.0001)で調整後は、変化は観察されなかった。一方、乳製品で調整後の関連性はやや強まっていた(ハザード比1.49、95%信頼区間;1.30-1.72、p<0.0001)。

 これらの結果から演者らは、「動物性タンパク質と脂質が多い低炭水化物食、特に大量の赤身肉や加工肉が含まれている食事は、2型糖尿病リスクを増加させる可能性がある」とし、一方で「植物性タンパク質と脂質が多い低炭水化物食は、2型糖尿病リスクの変化に関連していない」と結論付けた。

(日経メディカル別冊編集)