米ジョンズホプキンス大学のElizabeth Selvin氏

 糖尿病の診断および糖尿病リスクが高い人の診断に使うことを推奨されているHbA1c値は、糖尿病や腎臓疾患あるいは循環器疾患などのリスクと関連することが示された。米ジョンズ・ホプキンス大学のElizabeth Selvin氏(写真)らが6月25日から29日まで米オーランドで開催されている第70回米国糖尿病学会学術集会(ADA 2010)で発表した。

 米国糖尿病学会(ADA)は現在、糖尿病の診断および糖尿病のリスクが高い人の診断にHbA1c値を使うことを推奨している。演者らは、ADAが示したHbA1c値のカットポイント(HbA1c<5.0、5.0〜<5.7、5.7〜<6.5、≧6.5%)ごとに、様々な臨床転帰のリスクとの関連性を調べた。

 対象は、地域社会でのアテローム性動脈硬化症リスク研究(ARIC)の参加者で、循環器疾患または糖尿病に罹患していない1万1092人のデータ。15年間のフォローアップ期間中、糖尿病2251件、腎臓病765件、末期腎不全55件、冠動脈疾患1198件、脳卒中385件、死亡1447件が発生した。

 解析の結果、HbA1cカテゴリー別の調整後ハザード比は、5.0〜<5.7を「1」とすると、糖尿病はHbA1c<5.0が0.4(95%信頼区間;0.3-0.6)、5.7〜<6.5が3.0(同2.7-3.3)、 ≧6.5%が13.7(同12.0-15.7)となった。慢性腎臓病はそれぞれ、1.0(0.7-1.4)、1.2(1.0-1.4)、1.5%(1.1-2.0)、末期腎不全はそれぞれ1.1(0.3-3.6)、1.6(0.9-3.1)、2.4%(0.9-5.8)、冠動脈性心疾患がそれぞれ0.9(0.7-1.2)、1.6(1.4-1.8)、1.9%(1.5-2.4)、虚血性脳卒中はそれぞれ1.0(0.7-1.6)、1.6(1.2-2.0)、2.9%(2.0-4.1)だった。全死因死亡率はそれぞれ1.4(1.2-1.7)、1.4(1.3-1.6)、1.6%(1.3-2.0)だった。

 なお、ハザード比は年齢、性別、人種、脂質、肥満、高血圧、糖尿病の家族歴、教育、アルコール、身体活動、喫煙で調整したものである。

 また、10年間と15年間の糖尿病の累積発生率(カプラン・マイヤー推定値)は、全体でそれぞれ11%と23%であった。HbA1cカテゴリー別でみた場合、糖尿病の10年間の累積発生率は、HbA1c<5.0が約2%、5.0〜<5.7が約5%、5.7〜<6.5が約20%、≧6.5%が約70%となった。

 これらの結果から演者らは、糖尿病の診断にHbA1c値を利用することを支持するデータが得られたとし、「新しいHbA1cカテゴリーはその後の糖尿病発症と強く関連し、腎臓および心血管系リスクのマーカーとなっている」と結論した。特に「HbA1c値が5.7〜<6.5%の人は、既に糖尿病およびその他の転帰リスクが高いことが明らかになった」とし注意を促した。