遠隔医療のツールとして万歩計を導入した場合、高齢糖尿病患者の身体活動の低下が抑えられ、身体障害度の軽減も期待できることが示された。糖尿病教育の情報化と遠隔医療プロジェクトであるIDEATelInformatics for Diabetes Education And Telemedicine)の成果の1つで、米SUNY Upstate医学大学のRuth S. Weinstock氏らが、6月25日から29日まで米オーランドで開催されている第70回米国糖尿病学会学術集会(ADA 2010)で発表した。

 IDEATelは、米の高齢者向け公的医療保険であるメディケアに加入している糖尿病患者(n=1665)を対象に、2000年から2007年まで取り組まれた。対象者を、4〜6週間ごとに、療養者の自宅と医療機関を結ぶ小型カメラ付きのテレビ電話(Home Telemedicine Unit)による糖尿病教育者の指導を受ける群(個人に合わせた目標設定を含む)と、通常ケアを受ける群とに無作為に分け、遠隔医療の有効な介入方法について検討を加えてきた。

 2004年にはすべての被験者に万歩計を配布。その後、1年ごとにHbA1c値の測定と問診の実施を行った。

 問診では、身体障害評価のため総合的評価とADLの評価を行う一方、身体活動評価のために糖尿病自己管理活動、Charlson併存疾患指数(Charlson comorbidity index)、Luben社会的支援状況、QOL指標であるSF-12などにもとづく評価を行い、さらに万歩計使用の有無についても調べた。解析に当たっては、変量効果を用いて一次診療医間の偏在を補正し、混合モデル分析を行った。

 その結果、遠隔医療群では通常ケア群に比べて、身体活動低下の程度(p=0.013)と身体障害度(p=0.037)が有意に低かった。また、万歩計の使用は、身体活動(p=0.006)と身体障害(p<0.001)に有意な関係があった。

 身体活動が活発な患者では、ベースライン時に合併症が少ない(p=0.0054)、抑うつが少ない(p<0.0001)、社会的つながりが多い(p<0.0001)、体格指数が低い(p<0.0001)、男性である(p<0.0001)、HbA1c値が低い(p=0.0045)などといった特徴が認められた。

 演者らが着目した万歩計使用の有無で比較すると、使用群で顕著な効果が確認され、身体活動の低下を抑制し、身体障害度を軽減した。

 これらの結果から演者らは、「万歩計を使った遠隔医療の介入は、高齢糖尿病患者において身体活動低下や身体障害度を軽減させることが分かった」とし、「糖尿病対策を僻地まで行きわたらせる際に、万歩計は安価で有用な補助具になると思われる」などと考察した。

(日経メディカル別冊編集)