滋賀医大教授の柏木厚典氏

 次世代の糖尿病治療薬の1つとして注目されている2型ナトリウム依存性輸送担体(SGLT2)選択的阻害薬であるASP1941が、日本人の2型糖尿病患者において有効で安全であることが示された。滋賀医大教授の柏木厚典氏(写真)らが、6月25日から29日まで米オーランドで開催されている第70回米国糖尿病学会学術集会(ADA 2010)で発表した。

 すでに報告されているフェーズ1では、まず単回投与試験を実施。48人の健康な男性ボランティア(ASP1941群36人、プラセボ群12人)に絶食条件下でASP1941またはプラセボ1〜300mgを投与した。これにより、最大300mgまでの範囲で尿中グルコース排泄量(UGE)が用量依存的に観察された。また、連続投与試験では、36人の健康な男性ボランティア(ASP1941群24人、プラセボ群12人)に、0、20、50、100mgのASP1941を7日間にわたって1日1回投与した。7日以内に血漿中のASP1941濃度が定常状態に達し、UGEは投与量50mgで約50g/日の最大値に達した。

 今回報告されたフェーズ2では、12週間の二重盲検試験を実施。合計361人の日本人の2型糖尿病患者(ベースラインHbA1c値約8.0%)を、ASP1941 0、12.5、25、50、および100mg/日にランダムに割り付けた(それぞれ69人、74人、74人、72人、72人)。その結果、HbA1c値は用量依存的に減少し(p<0.001)、50mgで減少幅は最大に達した(ベースラインからの変化は、50mgで−0.79±0.09%、プラセボで+0.48±0.09%)。

 12週間後の体重をみると、平均体重はASP1941群でベースラインを下回っていた(約1.5〜2.0kg)。特に、100mg群で最大2kgまで用量依存的に減少した(p<0.001)。

 一方の安全性については、ASP1941全グループで主たる懸念事象は観察されなかった。100mg群で軽度の症候性低血糖が1件あった以外は、低血糖は観察されなかった。このほか頻尿16件と多尿3件などが観察されたが、すべて軽度で、ASP1941群とプラセボ群の間で、有害事象率に有意の差はなかった。

 これらの結果から演者らは、「ASP1941が日本人の2型糖尿病患者の高血糖コントロールに役立つことを示している」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)