青少年の2型糖尿病患者では、β細胞の機能障害が病態の進行において重要な役割を担っていることが示された。米シンシナチ大のDeborah A. Elder氏らが6月25日から29日まで米オーランドで開催される第70回米国糖尿病学会学術集会(ADA 2010)で発表した。

 青少年の間では、肥満の増加に伴い2型糖尿病が増加している。青少年における2型糖尿病の病態生理学はよく分かっていないが、成人の糖尿病と類似点がいくつか見られる。β細胞機能障害(不全)が成人2型糖尿病の中心となっており、この機能障害は発症の何年も前から始まっているとされている。ただ、青少年ではこの前病的状態が短い傾向にあり、病気の進行速度が異なるとされている。そこで演者らは、この点を明らかにするため、青少年の2型糖尿病患者を対象に検討を重ねた。

 まず、青少年の2型糖尿病患者におけるβ細胞機能障害の役割を理解するために、診断後3カ月以内の39人の青少年2型糖尿病患者のインスリン分泌能を評価し、体重が同じ対照被験者(38人)と比較した。さらに19人の成人2型糖尿病患者のインスリン分泌能についても同様に評価した。

 インスリン分泌能の評価は、被験者にアルギニン5gとグルコース(0.3g/kg)を連続的に急速静注(ボーラス投与)し、初期インスリン分泌反応(AIR)をみることで行った。AIRは、注入から2、4、6、8、10分後と連続して測定し、10分までの反応をAIRg(分・pmol/L)値として求めた。6、12、24カ月とフォローアップし、同様の測定を繰り返した。なお、被検者は各測定時に経口糖尿病薬を3〜5日間休薬する一方、長期作用型インスリンを36時間休止し、これらの薬の影響を排除した。

 その結果、診断時とフォローアップ時のどの時点においても、対照群に比べて青少年2型糖尿病群の方でAIRgが有意に低かった(すべてp<0.0001)。成人2型糖尿病群も対照群に比べて低かったが、青少年2型糖尿病群の方が成人2型糖尿病群より低い傾向にあった。

 また、青少年2型糖尿病患者では、ベースライン時にインスリン投与を受けていた群と受けていない群で、AIRgの動向に差があった。受けていた群は受けていない群よりもAIRgが低く、AIRgが0前後で推移していた。

 これらの知見から、青少年2型糖尿病患者は、顕著なインスリン分泌能の低下を示すことが分かった。また、最初の6カ月の治療の間はほとんど病態の進行はないと思われたが、血糖管理(空腹時血糖値140mg/dl以下)を行ってもβ細胞機能障害は存続していた。

 今回の結果から演者らは、「青少年2型糖尿病患者においてはβ細胞機能障害が重要な役割を担っており、この機能障害は比較的短期間に生じることを示唆している」などと考察した。

(日経メディカル別冊編集)