褐色脂肪組織BAT)と肥満症の関係について、性別や年齢が影響していることが示された。特に男性では、加齢が褐色脂肪組織の活性の低下や量の減少に大きく影響していることが示唆された。男性が加齢とともに急に太ることに関連している可能性があるという。ドイツ・テュービンゲン大のNorbert Stefan氏らが、6月25日から29日まで米オーランドで開催されている第70回米国糖尿病学会学術集会(ADA 2010)で発表した。

 BATは、哺乳類とヒト新生児においてエネルギーの恒常性と脂肪量の制御に関わっているとされる。成人においても同様の制御に影響することが示唆されているが、演者らは、BATの活性およびBAT量が年齢とともに低下するために、肥満症に及ぼすBATの制御が弱くなっていくとの仮説を立て、検証を試みた。さらに、BATの活性および量に及ぼす年齢の影響について、男女別に比較した。

 対象は計260人の被験者で、その背景は、女性136人、男性124人、48±1歳、身長170±1cm、体重71.3±1.0kg、BMI24.5±0.3、空腹時血糖5.17±0.06mM、BAT活性1.32±0.07、BAT量25.24±3.20gなどだった。

 BAT活性とBAT量の測定は、上半身の18F-フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影/コンピュータ断層撮影(18F-FDG PET/CT)により行った。

 試験の結果、まず性別に着目すると、BAT活性とBAT量は男性に比べて女性で高かった(BAT活性:女性1.59±0.10 対 男性1.02±0.10、p≦0.0006、BAT量:女性32±5g 対 男性18±4g、p≦0.0006)。また多変量解析では、性別(p<0.0001)、年齢(p<0.0001)および体格指数(p=0.0018)が、それぞれ独立してBAT活性と関係があった。興味深いことに、男性のみで、BAT活性(p=0.008)の決定に際して、体格指数と年齢との間に相互作用が認められた。

 また、男女差を年齢層別で見ると、年齢の三分位の最低位(11-43歳、中央値29歳)では、BAT活性と量とも有意差はなかったが、上位2つの群では違いが見られた。43-56歳(中央値50歳)では、BAT活性(p=0.0002)、量(p=0.0002)とも男性が有意に少なく、56-82歳(中央値65歳)では、BAT活性(p=0.015)は男性が有意に少なく、BATの量(p=0.09)も男性が少ない傾向にあった。

 今回のデータから演者らは、「一般的にBAT活性とBAT量は女性および若年層で高いことが示された」とした。また、BAT活性とBAT量が肥満症に及ぼす影響については、「男性のみで加齢とともに低下するという新たな証拠が得られた」と結論した。今後さらに、BAT活性とBAT量の肥満への影響について検討を加える意向だ。

(日経メディカル別冊編集)