2型糖尿病患者において、低血糖症心血管イベントのリスク上昇と関連することが示された。医療保険請求データを用いた後ろ向き研究により明らかになった。米ワシントンD.C.・Thomson ReutersのStephen S. Johnston氏らが、6月25日から29日まで米オーランドで開催されている第70回米国糖尿病学会学術集会(ADA 2010)で発表した。

 演者らは、外来患者の低血糖症と急性の心血管イベント(ACVEs)の発生データをICD-9-CM(国際疾病分類 第9版)コードで選び出し、両者の関連を調べた。心血管イベントは、急性心筋梗塞、冠動脈バイパスグラフト術、血行再建術、経皮経管的冠動脈形成術(PTCA)および新規の不安定狭心症とした。

 データは、雇用者が提供する主要医療保険あるいはメディケア補助保険加入者個人の保険請求記録から抽出した。

 登録期間(2006年9月30日〜2007年9月30日)では、条件に適合する患者を選び、臨床的および人口統計学的特徴の情報収集を行った。評価期間(2007年10月1日〜2008年9月30日)では、低血糖症とACVEsを抽出した。分析に当たっては、修正医療効果データおよび情報セットアルゴリズムを用いて18歳以上の2型糖尿病患者を選択した。

 多重ロジスティック回帰と逆向きステップワイズ変数選択(最大p=0.01)を用いて、重要な交絡変数で補正後、データを分析した。交絡変数には、年齢、性別、地理、保険の種類、共存疾患スコア、心血管リスク因子、糖尿病合併症、ベースラインでの合計医療支出、既往ACVEsが含まれる。

 分析対象となった86万845人の患者のうち、評価期間中に2万7065人が低血糖症を発症した。主要モデルでは17の重要な独立変数を確認した。その結果、低血糖症を発症した患者では、ACVEsの回帰補正オッズ(オッズ比1.79、95%信頼区間;1.69-1.89)が「低血糖症なし」の患者より79%高かった。また、65歳以上の患者でも同様の結果を得た(1.78、95%信頼区間;1.65-1.92)。

 なお、AVEsのオッズ比よりも大きなオッズ比の値を示したのは、2つの独立変数、つまり年齢(オッズ比の範囲;35-44歳対18-34歳でオッズ比3.54から65歳以上対18-34歳でオッズ比13.25まで)と既往ACVEs(オッズ比2.87)のみだった。

 これらの結果から演者らは、「低血糖症エピソードは、独立して急性心血管イベントリスク上昇と関連があった。今回の大規模な医療保険請求データを用いた後ろ向き研究の成績は、低血糖症が有害心血管イベントの独立リスク因子であることを示唆した最近の臨床試験データを支持するものだ」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)