Cardiff Research ConsortiumのJason P. Gordon氏

 患者にとって、最初に処方された薬剤が必ずしも満足できるものであるとは限らない。しかし、少なくともインスリングラルギン(以下、グラルギン)については、比較的多くの患者が満足しているようだ。英国における基礎インスリン薬の継続使用状況を調べたCardiff Research Consortium(英国・カーディフ)のJason P. Gordon氏(写真)らは、グラルギン使用患者の3人に2人は、3年以上にわたり同剤を使用し続けていることを6月6日、ニューオーリンズで開催されている第69回米国糖尿病学会ADA2009)のポスターセッションで報告した。

 The Health Improvement Network(THIN)は、英国の一般開業医(GP)約300軒・患者500万人以上の医療記録を網羅する巨大データベースであり、匿名化された患者の血圧やBMIなどの身体データとともに、罹病疾患名や処方薬に関する詳細な情報が記載されている。

 今回Gordon氏らは、このTHINデータベースを利用し、英国のGPにおいて新たに基礎インスリン補充療法を導入された2型糖尿病患者における3年間の治療継続状況を調査した。

 対象は、THINデータベースに登録された患者のうち、2002年7月〜2006年12月に、インスリンデテミル(以下、デテミル)、グラルギン、中間型インスリンのいずれかの基礎インスリン薬を初めて処方された2型糖尿病患者4017例である。平均年齢は61±12歳、男女比は46:54、登録時の平均HbA1c値は9.6±1.6%だった。

 処方されたインスリン製剤の内訳は、デテミル357例、グラルギン2197例、中間型インスリン1463例であった。これら3群のベースライン時の患者背景に有意な偏りはみられなかった。

 処方から12、24、36カ月後の継続率は、グラルギン群が83%、75%、67%、中間型インスリン群が75%、65%、57%であり、グラルギン群の方が有意に高率であった(p<0.001)。また、上市から比較的日の浅いデテミルは36カ月後における継続率のデータが欠落していたが、12、24カ月後の継続率はそれぞれ78%、68%であり、グラルギン群より有意に劣っていた(p=0.014)。

 また、各群の12カ月後のHbA1c低下は、デテミル群-1.0±2.0%、グラルギン群-1.2±1.7%、中間型インスリン群-0.9±1.6%であり、グラルギン群の低下度は中間型インスリン群より有意に大きかった(p=0.002)。一方、グラルギン群とデテミル群、デテミル群と中間型インスリン群の低下度には有意差は認められなかった。

 以上のように、グラルギン、デテミル、中間型インスリンの3つの基礎インスリン薬のなかで、グラルギンは他の2剤に比して有意に継続率に優れ、血糖コントロールにも優れる傾向があることが明らかとなった。今後、さらなる追跡データが蓄積されるとともに、グラルギンが継続される理由についての解明も望まれるところである。