Consorzio Mario Negri SudのAntonio Nicolucci氏

 Telecare血糖自己測定SMBG)装置と糖尿病センターをオンラインでつなぐシステムだ。Consorzio Mario Negri Sud(サンタ・マリーア・インバーロ,イタリア)のAntonio Nicolucci氏(写真)らは、このシステムを利用した患者データの管理・指導を推進する中で、Basel-Plus療法基礎インスリン補充療法に追加インスリンを1回もしくは2回追加する療法)に対する患者の満足度が極めて高いことが明らかになったことを6月6日、ニューオーリンズで開催されている第69回米国糖尿病学会ADA2009)のポスターセッションポスターセッションで報告した。

 糖尿病に対する治療戦略は、病態に応じて随時見直さなければならない。ことにインスリン療法に関しては、入念な血糖モニタリングに基づく細かな用量調節が必要であるが、オンラインでデータ収集と管理・指導を行えば、患者に頻回な血糖測定や通院の負担を課すことなく細かな戦略調節ができるものと期待される。

 そこでNicolucci氏らは、新たにインスリンを導入した2型糖尿病患者を対象に、Telecareシステムを利用した患者管理と、従来のSMBGに基づく管理の有用性を比較するELEONOR試験を遂行中である。

 対象は、経口血糖降下薬による治療が効果不十分となった2型糖尿病患者241人。平均年齢は58±8歳、うち男性の比率は52%、平均BMIは30.2±4.5kg/m2、平均罹病期間は11±7年、平均HbA1c値は8.86±0.94%だった。これらの患者は、SMBGの使用法について指導を受けた後に無作為化され、Telecare群(115人)、通常管理群(126人)のいずれかに割り付けられた。

 どちらに割り付けられた場合も、ビグアナイド(BG)薬以外の経口血糖降下薬はすべて中止した上で、インスリングラルギン(以下、グラルギン)にてインスリンを導入し、8〜16週間の用量調節期間(空腹時血糖100ml/dL以下を目標にグラルギンを調節)の後に、必要があれば超速効型インスリン製剤であるインスリングルリジン(以下、グルリジン;本邦本年4月承認))のボーラス投与を追加し、24週間の治療が行われた。

 その結果、両群の24週後のHbA1cは、用量調節終了時に比べ、いずれも有意に低下していた(通常管理群:7.75%が7.04%へ、Telecare群:7.85%が7.16%へ、ともにp<0.0001)。また、その間の低血糖の発現頻度も両群同等であった(1.76件/人・年対1.89件/人・年)。

 また、QOLの指標であるSF-36スコアも、両群ともに有意に改善していた(通常管理群:身体関連スコア49.8が47.2へ、p<0.0001、精神関連スコア51.2が47.6へ、p=0.04、Telecare群:身体関連スコア49.3が47.8へ、p=0.04、精神関連スコア50.5が47.4へ、p<0.0001)。

 さらに、治療に対する患者の満足度は、両群ともに著明に改善していた(通常管理群:30.4が24.7へ、Telecare群:30.1が25.6へ、ともにp<0.0001)。

 以上より、経口血糖降下薬による治療が効果不十分となった2型糖尿病患者において、グラルギンとグルリジンによるbasal-Plus療法は良好な血糖コントロールとQOLの改善をもたらし、患者に高い満足度を与えることが明らかとなった。それと同時に、Telecareシステムを用いたオンラインでの患者管理は、従来の管理法に優るとも劣らないものであることも示された。