共同演者のTim Heise氏

 食後高血糖管理の重要性が明らかになるにつれ、これをピンポイントで抑える超速効型インスリンへの期待も高まっている。PROFIL Institute for Metabolic Research(独ノイス)のSabine Arnolds氏は、近年新たに登場した超速効型インスリン製剤であるインスリングルリジン(以下、グルリジン;本邦本年4月承認)とのインスリンアスパルト(以下、アスパルト)の薬物動態/薬力学をhead-to-headで比較。グルリジンはアスパルトよりさらに早い効果発現が期待できることを6月6日、ニューオーリンズで開催されている第69回米国糖尿病学会(ADA2009)のポスターセッションにて報告した。

 本検討は、12人の健康成人ボランティアを対象とした無作為化二重盲検クロスオーバー試験である。ボランティアの平均年齢は42±12歳、男女比は6人対6人、平均BMIは24.6±2.2kg/m2、HbA1cおよび空腹時血糖値はいずれも正常だった。

 Arnolds氏は、これらのボランティアに対し、一晩の絶食を課した後にグルコースクランプ装置(Biostator®)を装着し、グルリジンまたはアスパルト 0.2U/kgを皮下注射し、これに呼応した血中インスリン濃度とグルコース注入率(GIRs)の変化を10時間にわたって測定した。さらに、その5〜18日後に、グルリジンとアスパルトをクロスオーバーした上で、同様の方法により2度目の測定を行った。

 その結果、グルリジンは投与直後より著明な血中インスリン濃度上昇をもたらし、10時間トータルでのインスリン分泌に占める投与後30分間のインスリン分泌の割合(AUCINS 0-30/AUCINS tot)は、アスパルト投与時より有意に高かった(0.07対0.04、p=0.0001)。また、投与後30分間のGIRs亢進(AUCGIR 0-30)もアスパルトより有意に高かった(30mg/kg対16mg/kg、p=0.0421)。

 また、血中インスリン濃度がピークの10%および20%に達するまでの時間(INS t10%、INS t20%)もグルリジンの方がアスパルトより有意に短かった(10%:3分対12分、20%:8分対19分、ともにp=0.0005)。

 同様に、GIRsがピークの10%および20%に達するまでの時間(GIR t10%、GIR t<sb>20%)もグルリジンの方がアスパルトより有意に短かった(10%:9分対17分、p=0.0146、20%:14分対22分、p=0.0435)。

 一方で、血中インスリン濃度がピークに達するまでの時間(INS tmax)は、グルリジン、アスパルトとも同等であった(90分対90分、p=0.6406)。また、10時間トータルでのGIRs(AUCGIR tot)にも有意な差は認められなかった(2167mg/kg対2256mg/kg、p=0.6066)。

 以上の結果より、グルリジンとアスパルトは、インスリンの血中移行量とグルコース代謝活性亢進効果の強さにおいては同等であるが、移行および効果発現に要する時間はグルリジンの方がアスパルトよりさらに短いことが示唆された。なお、両者の差異の理由については、「亜鉛を含まないというグルリジンの構造上の特性が速やかな血中移行を助けるのではないか」とArnolds氏らは考察している。