米Einstein Diabetes Research Center(ニューヨーク)のElizabeth A. Walker氏

 電話によるカウンセリング介入によって、2型糖尿病の管理を有意に改善できたことが報告された。糖尿病患者の治療成績改善研究の成果で、米Einstein Diabetes Research Center(ニューヨーク)のElizabeth A. Walker氏(写真)が6月8日、ニューオーリンズで開催中の第69回米国糖尿病学会ADA2009)の一般口演で発表した。

 「I do, The Improving Diabetes Outcomes」のキャッチフレーズの元に展開された糖尿病患者の治療成績改善研究は、主に服薬順守に焦点を当てた無作為化行動介入試験で、糖尿病管理とセルフケアを改善するために保健指導者による個人に合わせた電話によるカウンセリング介入(英語とスペイン語、tele群)と、手紙を郵送しての介入(英語とスペイン語、print群)とを比較するものだった。電話による介入には、生活様式のコーチング、リスクコミュニケーション、および自己達成感向上の支援などが含まれていた。

 被験者はニューヨーク市とその周辺に住む医療従事者労働組合員またはその配偶者で、2型糖尿病の経口糖尿病薬を服薬している成人526人。平均年齢は55.5±7.3歳、女性(67.1%)、外国生まれ(76.8%)、黒人(61.6%)およびヒスパニック系(22.6%)が多数を占めていた。彼らの43%は世帯年間所得が3万ドル以下であったが、すべて医療保険加入者だった。

 被験者は、tele群(262人)とprint群(264人)に無作為に割り当てられた。両群は、性別、年齢、経口糖尿病薬服薬の数、インスリンの使用、糖尿病療養期間、教育程度、所得、および外国生まれかどうかなどの背景に関して同等だった。ただし、tele群の方が、体格指数(31.7±6.1対30.4±5.8kg/m2、p=0.02)が有意に高く、スペイン語で話す人の割合(19%対13%、p=0.07)も比較的高かった。1年におよぶ試験期間中は、tele群だけに最高10回の電話指導があった。また、要望に応じて英語またはスペイン語による糖尿病自己管理についての資料が配布された。

 主要な治療成績は、治療開始時と12カ月時点でのHbA1c値の変化で評価した。

 その結果、試験開始時の平均HbA1cはtele群で8.6%(8.0-9.6)、print群で8.7%(8.0-10.2)だった(p=0.11)。主要な治療成績データが得られたのは全体の84.4%(tele群87.0%、print群81.8%、p=0.10)で、tele群はprint群と比較して、平均HbA1cに0.36%の改善があった(p=0.04)。これは試験設計の際に仮定した0.30%を、若干だが上回るものだった。

 患者背景で補正した多変数モデルでは、試験開始時の「高いHbA1c」(p<0.01)に加えて、「年齢が高い」(p=0.01)、「低所得」(p=0.04)という特徴が独立してHbA1cの改善と関係があった。また、HbA1c改善と介入との補正後の関連性も統計的に有意であった。

 これらの結果から演者らは、「保健指導者による電話を使った行動介入という公衆衛生の取り組みは、保険加入者であり、低所得、都市に住むマイノリティに対し、2型糖尿病の代謝管理を有意に改善することができた」と結論した。こうした試みが各地域で広がっていくことを期待したい。