米ロサンゼルス・Charles Drew大のMayer B. Davidson氏

 基礎インスリン追加療法は、2型糖尿病患者に対する「最初のインスリン療法」として米国糖尿病学会ADA)や欧州糖尿病学会EASD)も推奨する治療である。さらに、超速効型インスリンを併用すれば、より効果が高まることが期待される。米ロサンゼルス・Charles Drew大Mayer B. Davidson氏(写真)らは6月6日、経口血糖降下薬+基礎インスリン追加療法に加え、超速効型インスリンの1〜3回打ちを追加するレジメンの有効性と安全性を検討した結果、高い有用性が確認されたことを、ニューオーリンズで開催されている第69回米国糖尿病学会(ADA2009)のポスターセッションにて報告した。

 Davidson氏らはまず、2型糖尿病患者1232例に対するスクリーニングを行い、2剤もしくは3剤の経口薬(スルフォニア尿素薬、ビグアナイド薬、チアゾリジン誘導体)を用いてもHbA1c>8.0%であった785例を抽出。これらの患者にインスリングラルギン(以下、グラルギン)による基礎インスリン追加療法を導入し、14週間のrun-in期間の後に再度HbA1c値を測定した。

 その結果、グラルギン導入前に平均10%を超えていたHbA1c値は著明に低下し、288例(37%)の患者がHbA1c<7.0%を達成した。しかし、残る343例はHbA1c<7.0%に到達し得なかった(平均7.9%)。

 同氏らは、これらの患者を無作為化し、(1)経口薬とグラルギンに加えて超速効型インスリンであるインスリングルリジン(本邦本年4月承認)をいずれか1食の食事直前に1回打ちする群(1回群)、(2)2食の直前に2回打ちする群(2回群)、(3)毎食の直前に3回打ちする群(3回群)に割り付け、空腹時血糖(FPG)<110mg/dL、就寝前血糖<130mg/dLをメルクマールとした用量調節下で治療を行った。

 343例の平均年齢は53歳、男女比は1:1、平均体重は106kg、平均BMIは37kg/m2、平均HbA1cは7.9%、平均空腹時血糖値(FPG)は120mg/dL、平均罹病期間は10年だった。

 追跡の結果、24週後のHbA1c値はいずれの群においても登録時より著明に改善したが、各群の改善度に有意差は認められなかった。しかし、HbA1c<7.0%を達成した患者の割合は、1回群29.7%、2回群33.3%、3回群45.1%であり、3回群が他の2群より有意に高かった(対1回群でp=0.017、対2回群でp=0.045)。

 一方、FPGやインスリン量、体重の変化度については、いずれも3群間に有意差を認めなかった。また、低血糖および重篤な低血糖の発現頻度にも有意差は認められなかったが、重篤な低血糖を呈した患者の割合は3回群が最も高かった(各群7.0%、8.0%、15.7%;有意差はなし)。

 以上より、経口薬にてコントロール不良の2型糖尿病患者に対し、インスリングラルギンによる基礎インスリン追加療法の導入は良好なHbA1c低下をもたらすが、これに加えて超速効型インスリンを投与することにより、さらに良好な血糖コントロールが得られることが示唆された。

 また、超速効型インスリンは、1回打ち、2回打ち、3回打ちのいずれの場合もHbA1c低下をもたらすが、3回打ちの方がHbA1c<7.0%を達成できる可能性が高いことも明らかとなった。ただし、有意ではないとはいえ低血糖リスクが若干上昇する可能性がうかがわれたことから、「最初は1回打ちから始め、必要なら2回、3回と段階的に増やすという方法が推奨される」とDavidson氏らは述べている。