吸入インスリン製剤といえば、数年前に欧米で発売され、その後も多くの製薬会社が開発に名乗りを上げるなど、一躍脚光を浴びた分野だ。注射に伴う痛みがないインスリン製剤として期待が高まったものの、様々な困難から徐々に開発中止・販売中止へと追い込まれていった印象が強い。ところが、全く新しいタイプの超速効型吸入インスリン製剤が登場しそうだ。それは超速効型吸入インスリン製剤「AFRESA(insulin human[rDNA origin])」。米ニューオーリンズで開催中の第69回米国糖尿病学会ADA2009)のポスターセッションで6月7日、インスリングラルギンとの併用療法において、吸入インスリン製剤は超速効型インスリンアナログ製剤に匹敵する有効性が得られたと、米・国際糖尿病センターR.Bergenstal氏が発表した。

 開発元のMannKind社によれば、AFRESAは肺の奥深くまで吸入するのに適した構造のパウダーが1回用量分パックされたカートリッジと吸入器から構成される。速やかに肺表面から吸収され、約12〜14分間で最大血中濃度に到達する。

 対象はHbA1c値が7.0〜11.0%の1型糖尿病患者589人で、吸入インスリン製剤とインスリングラルギンとの併用群(301人、以下吸入インスリン群)または超速効型インスリンアナログ製剤とインスリングラルギンとの併用群(288人、以下インスリン群)に無作為割付けし、52週間治療を行った。試験開始時の患者背景に両群で差はなかった。

 その結果、HbA1c値は、吸入インスリン群では開始時の8.41%から8.20%へ低下し(p=0.0281)、一方のインスリン群では開始時の8.48%から7.99%へ低下した(p<0.0001)。空腹時血糖値については、吸入インスリン群で35.5mg/dL低下し、インスリン群の20.6mg/dL低下を有意に上回った(p=0.0012)。体重変化は、吸入インスリン群で0.5kg減少したのに対し、インスリン群では1.4kg増加しており、吸入インスリン群で有意に優れていた(p<0.0001)。

 有害事象に関しては、すべての低血糖が吸入インスリン群86.01%、インスリン群92.65%にみられ、重篤な低血糖は吸入インスリン群32.76%、インスリン群37.50%と、いずれも有意差はなかった。吸入インスリン製剤の肺への影響については、試験期間中肺機能のフォローを行ったが、特に変化はみられなかった。

 Bergenstal氏は「この試験結果により、1型糖尿病患者に対する吸入インスリン製剤は十分に有効で安全な治療法であると示すことができた。わずかであるが、体重減少が得られたことも大きなメリットだ」とした。なお、この製剤は既に米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ている。