SCRIPPSクリニック(米サンディエゴ)のGeorge Dailey氏

 持効型溶解インスリン製剤であるインスリンデテミル(以下、デテミル)は、体重増加をきたしにくいことが特徴の1つとされる。しかし、もう1つの持効型溶解インスリン製剤であるインスリングラルギン(以下、グラルギン)とデテミルが2型糖尿病患者の体重に及ぼす影響を比較するメタ解析を行った結果、HbA1c低下度当たりの体重増加に差はなかったことが分かった。SCRIPPSクリニック(米サンディエゴ)のGeorge Dailey氏(写真)らの研究によるもので、6月6日、ニューオーリンズで開催されている第69回米国糖尿病学会ADA2009)のポスターセッションにて報告した。

 2型糖尿病患者にとって、インスリンによる体重増加は悩ましい問題である。この点において、持効型溶解インスリン製剤は比較的体重増加が軽度であり、特にデテミルはグラルギンよりも増加が少ないとの報告があるが、両剤のHbA1c低下度当たりの体重増加の違いを検討した報告はまだない。そこでDailey氏らはこの点に着目し、両剤の無作為化比較試験(RCT)のメタ解析により、HbA1c低下度当たりの体重増加を比較した。

 同氏らはまず、MEDLINEのデータベースを利用し、2000年1月〜2008年12月に発表されたRCTのうち、(1)実薬対照、(2)治療期間≧4週間、(3)HbA1c、体重変化、インスリン用量のアウトカムと、過去の血糖降下療法に関する記載がある――の3点を備えた研究の電子的検索を行った。

 その結果、グラルギンに関する19研究とデテミルに関する3研究、グラルギンとデテミルを比較した1研究の計23研究が同定された。対象例数は、グラルギン4295例、デテミル1086例だった。治療期間は24週間以上のものが21研究、4週間と20週間が各1研究であった。

 いずれの研究においてもグラルギンは1日1回投与であった。一方、デテミルは1つの研究においては1日1回、1つの研究においては1日2回投与とされており、他の2つの研究は1日1回投与で開始し、必要に応じて1日2回投与に変更するプロトコールであった。また、グラルギンに関する1研究以外はすべて、経口血糖降下薬併用下での試験であった。

 各研究における登録時のHbA1c値は、グラルギン群が8.1〜9.7%、デテミル群が8.6〜9.1%であった。治療後のHbA1c低下量は、グラルギン群・デテミル群ともに平均−1.4%であり、有意な差は認められなかった。

 また、登録時のBMIは、グラルギン群が24.8〜34.6kg/m2、デテミル群が28.9〜30.6 kg/m2だった。治療後の体重変化量は、グラルギン群が平均+2.3kg、デテミル群平均+1.7kgだったが、両者に統計的有意差は認められなかった。同様に、HbA1c低下度当たりの体重変化は、グラルギン群が平均+1.7kg、デテミル群平均+1.2kgであったが、ここでも有意差は認められなかった。

 すなわち、おおよその変化でみても、HbA1c低下度当たりの変化でみても、グラルギンによる体重増加とデテミルによる体重増加は大差ないことが示された。

 ただし、グラルギン群では一貫して1日1回投与の用法が維持されていたのに対し、デテミル群では用法の変更が許されていた2研究の登録患者の多くが1日2回投与に用法を変更していた。変更者の割合は、1研究では34%、もう1つの研究では55%に及んだ。その結果、試験終了時におけるデテミル群のインスリン用量は、グラルギン群に比して有意に多くなっていた(51.5U/日対36.6U/日、p=0.013)。

 インスリンによる体重増加は、用量が増えるほど多くなることが推測される。したがって、治療期間が長期化し、1日2回投与する患者の割合がさらに増加すると、体重増加量は今回の検討で示されたより大きくなる可能性が懸念される。Dailey氏らは、その点に言及し、「体重変化量を単純に比較した試験のデータの解釈には注意が必要だ」としている。