「集中的介入による高血圧のコントロール」「アンジオテンシン変換酵素阻害剤とアンジオテンシン受容体遮断薬による糖尿病性ネフロパシーの治療」「ハイリスク集団を対象とした総合的なフットケア」の3つの介入は「強固なエビデンスがあり、かつ費用節約的」と高く評価された。これは、糖尿病の予防とコントロールを目的とした様々な介入を費用対効果で評価し直した系統的レビューにより明らかになった。米CDCRui Li氏らが6月7日、ニューオーリンズで開催中の第69回米国糖尿病学会ADA2009)の一般口演で発表した。

 糖尿病に対する公衆衛生額的な対応において、各種の介入に優先順位を付けるに当たっては費用対効果分析が不可欠。演者らはこの基本的な考えのもとに、Cochrane Reviewers Handbookに明記されている手順に従って、1985年1月から2008年5月までの期間に発表されたすべての費用対効果分析研究に関する包括的な系統的レビューを実施した。

 7つの図書目録データベースと専門誌1誌を使って、関連性のある分析研究を特定した。各種の介入については、エビデンスが強固かあるいは支持的かなどに分類した上で、さらに「費用節約的」「費用対効果が良い(CE)」「辛うじてCE」「CEではない」の4段階で評価した。

 なお、「CE」「辛うじてCE」「CEではない」については、QALY(quality-adjusted life years、質で調整した生存期間)あるいはLYG(life year gained、生存年数の延長)に対する費用をもとに費用効率を算出。「CE」はQALYあるいはLYG当たり0〜5万米ドル、「辛うじてCE」はQALYあるいはLYG当たり5万〜10万米ドル、「CEではない」は10万米ドル超とした。なお、費用は2007年時点の米ドルで表示した。

 演者らは9461のアブストラクトを抽出し、関連性のある197の分析研究をピックアップした。このうち、19カ国で98の分析研究がレビューの対象となった。

 レビューの結果、強固なエビデンスがあったのは、費用節約的と評価された「集中的介入による高血圧のコントロール」、「アンジオテンシン変換酵素阻害剤とアンジオテンシン受容体遮断薬による糖尿病性ネフロパシーの治療」、「ハイリスク集団を対象とした総合的なフットケア」の3項目と、さらにCEと評価された「耐糖能異常がある人の2型糖尿病予防を目的としたグループベースの集中的ライフスタイル介入」、「25〜54歳のアフリカ系アメリカ人を対象とした未診断2型糖尿病のスクリーニング」および「治療の確保」、「1型または2型糖尿病患者での集中的血糖コントロール」、「心血管疾患の既往がある人を対象としたスタチン治療」、「禁煙」、「糖尿病性網膜症の年1回のスクリーニング」の7項目だった。

 また、支持的なエビデンスがあったのは全部で49項目で、そのうちの12項目が費用節約的、26項目がCE、3項目が辛うじてCE、5項目が不明となった。

 こうした検討を踏まえ演者らは、「強固なエビデンスがあり、費用節約的または費用対効果が良いと評価される介入は、医療資源の有効利用であり、今後、積極的な導入を検討すべきである」と結んだ。