診断基準におけるHbA1cの活用について検討してきた専門家委員会委員長のDavid Nathan氏

 米国糖尿病学会ADA)と国際糖尿病連合IDF)、欧州糖尿病学会EASD)の3団体は6月5日、合同で新たな糖尿病診断基準を発表した。指標にHbA1cを採用し、「HbA1c6.5%以上を糖尿病とする」と定めた。同日、ニューオーリンズで開催されている第69回米国糖尿病学会のシンポジウムで正式に公表し、同時にDiabetes Care誌に「International Expert Committee Report on the Role of the A1C Assay in the Diagnosis of Diabetes」と題する論文も発表した。

 欧米ではこれまで、空腹時血糖(FPG)や経口ブドウ糖負荷試験(oral glucose tolerance test;OGTT)による糖尿病診断を行ってきた。シンポジウムで、診断基準におけるHbA1cの活用について検討してきた専門家委員会委員長のDavid Nathan氏(ハーバード・メディカル・スクール、写真)は、この2つの指標とHbA1cを比較検討した試験結果(DETECT-2など)を解説しつつ、HbA1cの指標としての優位性およびHbA1c測定法の有用性を強調し、新たな診断基準にHbA1cを採用した根拠を示した。

 特に、(1)糖尿病の基本的概念である持続性高血糖は、空腹時血糖値や食後2時間血糖値などでは代表できず、現行の指標の中ではHbA1cが最も適切である、(2)HbA1cの測定は、空腹時採血や負荷試験を必要としない、(3)現行の治療目標はHbA1cに基づいており、診断でもHbA1cを使った方が診断と治療の間に連続性が認められる−−などを指摘、HbA1cによる新診断基準への理解を求めた。
 
 HbA1cのカットオフ値については、4月にDiabetologia誌で発表された「Relationship between glycated haemoglobin and microvascular complications: is there a natural cut-off point for the diagnosis of diabetes?」の成果を提示。「6.5%以上」との結論に至った根拠を解説した。

シンポジウムでは活発な議論が繰り広げられた

 ADAのほか、WHOも新たな糖尿病診断基準を検討しており、日本糖尿病学会も、わが国の新しい糖尿病診断基準の策定へ向けた動きを加速させている。

 いずれもHbA1cの位置づけを重視する方向にあるが、世界共通の診断基準に向けて、HbA1c値の国内的・国際的な標準化の検証など課題も少なくない。

2型糖尿病の薬物治療に関する調査へのご協力のお願い
 糖尿病治療では、作用機序の異なる経口剤や作用時間の異なるインスリン製剤が登場したことで、患者の生活習慣や糖尿病の病態を考慮したきめ細かい薬物療法が可能になってきました。こうした動向を踏まえ、日経メディカルオンラインでは昨年に引き続き、特に2型糖尿病の薬物治療に焦点を当てた実態調査を企画いたしました。
 調査では、新型インフルエンザの影響、新しい糖尿病診断基準、ADAとEASDが改訂した高血糖管理についてのアルゴリズムなど、最近のトピックスについて、先生方のご意見をうかがうとともに、薬物治療を開始する際に重視する点および検査指標、さらには、2型糖尿病治療の第1選択薬の種類と具体的な銘柄についてお尋ねしています。また処方薬につきましては、現在処方されている銘柄を挙げていただき、その選択理由と評価についても明らかにしたいと思っています。ぜひ、調査へのご協力のお願いい申し上げます。
詳しくは以下の画面からお願いします。(医師限定です)
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