アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者において、プラーク破裂を検出しうるマーカー「YKL-40」は微小血管および大血管疾患と関連性があることが分かった。オーストリアのRudalfstiftung病院(ウィーン)のJohanna Brix氏らが6月5日、ニューオーリンズで開催されている第69回米国糖尿病学会ADA2009)の一般口演で発表した。演者らは、「YKL-40の役割を解明することは、アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者の予後不良を改善することにつながる」とした。

 アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者では、微小血管と大血管合併症のリスクが増大する。また、アルブミン尿症は、プラークの不安定性と内皮機能不全に関係している。一方で、プラーク破裂を検出しうるマーカーであるYKL-40は、内皮機能不全に関与していることが確認された。さらにプラーク破裂において、YKL-40はアテローム硬化性イベントに関わってもいる。そこで、演者らは、アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者のYKL-40を詳しく調べることで、血管の疾患との関連性を探った。

 対象は、2型糖尿病患者185人。アルブミン尿でみた場合、正常アルブミン尿(No-A)群が107人、微量アルブミン尿(Mi-A)群が52人、マクロアルブミン尿(Ma-A)群が26人だった。

 各群のYKL-40を測定したところ、No-A群が87±57ng/mL、Mi-A群が106±64ng/mL、Ma-A群が155±79ng/mLと大きく異なっていた(p<0.001)。

 また、大血管疾患の有無で比べたところ、大血管疾患のある2型糖尿病患者では、大血管疾患のない群にくらべYKL-40が高く、108±70対81±45(ng/mL、p=0.003)だった。網膜症のある患者は、ない患者より値が高い傾向を示し、122±77対97±58(ng/mL、p=0.79)だった。

 相関分析では、YKL-40は尿アルブミン排泄(UAE)と関連していることが明らかになった。一方、多変数回帰では、YKL-40は、UAE(Beta=0.262、p=0.001)、クレアチニン・クリアランス(Beta=-0.490、p=0.001)およびトリグリセリド(Beta=0.156、p=0.038)と関連性があった。このうちUAEが、YKL-40の独立した予測因子であった。

 演者らは、今回の研究により、アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者においてはYKL-40の上昇がみられる上に、YKL-40は大血管疾患との有意な関連性があることも明らかになったと結論した。その上で、YKL-40と腎疾患、微小血管疾患および大血管疾患との関連性を確認したことは、「アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者の不良な予後の改善につなげられる可能性がある」と締めくくった。