英国Addenbrookes HospitalのAndrew J. K. Ostor氏

 英国では関節リウマチ(RA)患者の約3分の1が生物学的製剤の単独療法を受けているとされるが、治療成績などその詳細は必ずしも明らかになっていない。英国Addenbrookes HospitalのAndrew J. K. Ostor氏らが同国における生物学的製剤単独療法の現状を検討した結果、その寛解達成率はいまだ不十分だったと、10月30日まで米国サンディエゴで開催されていた米国リウマチ学会(ACR2013)で報告した。

 本研究は、英国の実臨床における生物学的製剤単独療法の実施状況、特に導入理由や有効性を検討するために行われた。対象は、2012年9月から13年5月に英国のRA専門26施設で生物学的製剤が単独で投与されていた309例。医療記録を用いて後ろ向きにデータを収集した。今回は、150例を対象とした中間解析の結果を報告した。

 対象の年齢は62.4歳(女性比率72.7%)で、RAの罹病期間は16.3年。リウマチ因子陽性率は74.5%(137例中102例)、抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)陽性率は36.6%(93例中34例)だった。

 以前の治療で55例(全体の36.7%)が2種類以上の生物学的製剤による単独療法を行っていた。単独療法で投与された生物学的製剤ではエタネルセプトが最も多く、以下、アダリムマブ、セルトリズマブ、リツキシマブ、トシリズマブの順だった。

 また、146例でDMARDsによる治療歴があり、その内訳はMTXが92%、サラゾスルファサラジンが74.7%、ヒドロキシクロロキンが42.7%だった。

 調査時点で単独療法として使われていた生物学的製剤の内訳は、エタネルセプト42.7%、アダリムマブ26.0%、トシリズマブ10.7%、リツキシマブ9.3%、セルトリズマブ8.0%だった。

 単独療法が選択された理由は「不明」が88%、「患者の希望」が6.7%、「併用禁忌」が7.3%だった。不明だったケースのほとんどは、主治医の判断によるものと推察された。

 英国立医療技術評価機構(NICE)がRAに対して単独使用を認めている生物学的製剤はアダリムマブ、エタネルセプト、セルトリズマブの3剤であり、今回の検討対象で用いられた生物学的製剤の76.7%を占めていた。一方で残りの約4分の1の患者には、NICEが単独使用を推奨していない生物学的製剤が投与されていた。

 DAS28-ESRのデータが入手できたのは66例で、そのうち16例(24.2%)がDAS28-ESR寛解を達成していた。

 今回の検討から、英国のRAの実臨床では生物学的製剤単独療法によるDAS28-ESR寛解達成率は24.2%と低く、必ずしも最適な治療が行われていない実態が明らかになった。150例中55例(36.7%)で生物学的製剤単独療法を複数の薬剤で行っていたことからも、生物学的製剤とDMARDsの併用療法が可能ではない患者がかなりの数に上ると考えられた。

 以上の検討からOstor氏は、「寛解達成がRA治療のゴールだが、現状の生物学的製剤単独療法での寛解達成率は低い。このアンメット・メディカル・ニーズを解消し、RA患者の予後を改善するために、新たな治療の選択肢を検討する必要がある」と指摘した。