米国ICON Clinical Research社のMonarch Shah氏

 生物学的製剤の投与を中止した関節リウマチ(RA)患者を対象に、中止の理由を調べる観察研究を実施したところ、TNF阻害薬の間で切り替えを続けた患者では、2剤目、3剤目になるにつれ最初から効果が見られない患者が増えること、2、3剤目は非TNF阻害薬の方が中止率が低く、継続期間が長い傾向があることが分かった。薬剤開発受託企業(CRO)である米国ICON Clinical Research社、Taylor Hospital、Genentech社、Rheumatology associates社の共同研究として、ICON社のMonarch Shah氏らが、米国サンディエゴで10月30日まで開催されていた米国リウマチ学会(ACR2013)で報告した。

 これまでのランダム化比較試験の結果から、TNF阻害薬を投与したRA患者の3分の1で、最初から効果が不十分だったり、効果は認められるものの長期的に見て症状が進行するリスクが懸念されたり、使用するうちに効果の減弱が見られたり、副作用が生じたりすることが知られている。1剤目の投与を中止した患者は多くの場合、別の生物学的製剤への切り替えを行っているのが現状だ。

 研究グループは、1剤目のTNF阻害薬投与を中止したRA患者について、中止の理由を後ろ向きに調べるとともに、2剤目、3剤目についても追跡し、新たな生物学的製剤の投与が中止された場合、その理由も合わせて解析した。

 調査は2012年2月〜9月にかけて米国の8医療機関のカルテを閲覧する形で実施した。対象は1剤目の生物学的製剤としてTNF阻害薬を使用し、2006年7月〜11年10月に2剤目、3剤目の生物学的製剤の投与を開始した患者。2剤目の生物学的製剤使用時に18歳以上だった患者を対象とした。TNF阻害薬として、アダリムマブ、セルトリズマブ、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、アバタセプト、その他の作用機序を持つ非TNF阻害薬としてリツキシマブ、トシリズマブについて解析した。薬剤別に分析するとn数が少ないことから、TNF阻害薬と非TNF阻害薬を比較した。

 カルテを参照した結果、1剤目のTNF阻害薬を中止し、2剤目の生物学的製剤の投与を始めていた患者は176人。2剤目の生物学的製剤として、122人が別のTNF阻害薬に切り替え、うち71%がその後投与を中止していた。また、54人は2剤目に非TNF阻害薬に切り替え、うち39%がその後投与を中止していた。

 研究を行った時点で、2剤目の生物学的製剤の投与も中止していた患者は98人。3剤目の生物学的製剤として、36人がさらに別のTNF阻害薬に切り替え、うち58%がその後再び投与を中止していた。また、62人は3剤目に非TNF阻害薬に切り替え、うち36%がその後投与を中止していた。「TNF阻害薬と非TNF阻害薬を比較すると、2剤目3剤目とも、TNF阻害薬の方が中止率が高く、中止までの平均投与期間は非TNF阻害薬の方が長い傾向にあった」とShah氏は説明する。

 1剤目のTNF阻害薬を中止した理由として最も多かったのは、「長期の効果維持が困難」(47%)、次いで「最初から効果不十分」(23%)だった。TNF阻害薬への切り替えを行った患者だけを見ると、中止の理由に占める「最初から効果不十分」の比率が、1剤目(176人)では23%、2剤目(87人)では40%、3剤目(21人)では48%と、次第に高くなる傾向があった。また、2剤目、3剤目の中止の理由として「安全性・忍容性」を挙げた割合も、非TNF阻害薬(14%、5%)よりもTNF阻害薬(21%、19%)の方が多かった。

 Shah氏は、「米国の少数の医療機関で行った研究のため、全体の傾向を反映していない可能性がある」と前置きしつつも、「医療保険の規定などから、米国ではTNF阻害薬が積極的に使われる傾向にあり、実際に3剤目までTNF阻害薬を使い続けて効果が見られない患者もいた。より早い段階で、いったん非TNF阻害薬の使用を考えてもよいかもしれない」と話した。