米国University of Nebraska Medical CenterのKaleb Michaud氏

 発症早期からメトトレキサート(MTX)とTNF阻害薬の併用療法を行うと、DMARDsの3剤併用療法に比べて生涯費用が18万5700ドル余分にかかり、0.222QALYをさらに得ることができる――。米国University of Nebraska Medical CenterのKaleb Michaud氏は、関節リウマチ(RA)の発症早期から生物学的製剤を使用した場合の生涯費用対効果について検討した結果を、米国サンディエゴで10月26日から30日に開催された米国リウマチ学会(ACR2013)で発表した。

 Michaud氏らは、早期RA患者を対象に実施されたThe Treatment of Early Aggressive Rheumatoid Arthritis (TEAR) 試験の結果に基づいて、2剤併用療法と3剤併用療法の長期的な費用対効果を比較した。

 TEAR試験は、米国の実臨床の現場で、罹病期間3年以内の進行期RA患者を対象に実施された4群比較試験。(1)開始後すぐにMTXとエタネルセプトの投与を行うエタネルセプト併用療法群、(2)すぐにMTXとスルファサラジン、ヒドロキシクロロキンの投与を行う3剤併用療法群、(3)MTX単剤療法から始めて効果が見られなければエタネルセプトを加えるステップアップ群、(4)MTX単剤療法から始めて効果が見られなければDMARDs2剤を加えるステップアップ群の計4群に患者を割り付けて試験を開始した。

 6カ月時点でDAS28が3.2以上だった場合に、エタネルセプトステップアップ群にはエタネルセプトを、DMARDsステップアップ群にはDMARDsを加え、2年後のDAS28の変化量を比較した。

 TEAR試験の結果、当初から併用療法を行った群とステップアップした群で、2年後のDAS28の変化量、X線所見のいずれも、有効性に有意な差が認められなかった。

 また、併用療法群同士を比較すると、エタネルセプト併用療法群の総Sharpスコアはわずかに3剤併用療法を上回り、3剤併用療法のDAS28の減少幅はわずかにエタネルセプト併用療法より大きかったものの、いずれも、両群に有意な差は見られなかった。

 研究グループは、TEAR試験の結果に基づき、質調整生存年(QALY)と治療に関わる費用を推計するためのマルコフモデルを開発した。また、RAのNational Data Bankや生命表などのデータに基づき、費用対効果の算出に必要な数値を決めた。

 具体的には、3剤併用療法の中止率を年22%、エタネルセプト併用療法の中止率を年10%、3剤併用療法にかかる費用を年791ドル、エタネルセプト併用療法にかかる費用を年2万4446ドル、平均収入を年4万5552ドルと設定。治療によって得られる効果と費用は、加齢に伴って年3%ずつ減少すると仮定した。

 その上で、4群について、治療開始から1年時点と2年時点、さらに死亡までに得られるQALYと費用を算出した。ちなみにQALYとは、治療により延長される生存年とQOLを組み合わせた費用対効果の評価手法だ。

 結果としてステップアップ療法群では、すべての時点においてかかる費用は低いものの、得られるQALYも小さかった。

 1年時点と2年時点においては、かかる費用が低い割に得られるQALYが大きいという点で、エタネルセプト併用療法よりも3剤併用療法が優れていた。さらに併用療法群について生涯費用と得られるQALYを検討したところ、3剤併用療法群では費用が15万2400ドル、QALYは9.991だったのに対し、エタネルセプト併用群では費用が33万8100ドル、QALYは10.213だった。

 3剤併用群に対するエタネルセプト併用群の増分費用対効果を比較したところ、エタネルセプト併用群では0.222QALYの増加分を得るために、18万5700ドル(1QALY当たり83万7100ドル)かかることが分かった。

 Michaud氏はこれらの結果を総括して、「費用対効果の面からみると、早期ではDMARDs3剤併用療法の費用対効果が優れている。死亡までについて見ると、エタネルセプト併用療法は、得られるQALYは大きいものの、DMARDs3剤併用療法の約2倍の費用がかかる。効果に対してどこまで費用を掛けられるかという問題だ」と述べた。