NTT東日本札幌病院長の小池隆夫氏

 NTT東日本札幌病院長の小池隆夫氏らは、10月26日から30日に米国サンディエゴで開催された米国リウマチ学会(ACR 2013)において、我が国で実施された関節リウマチ(RA)患者を対象としたアバタセプトの市販後調査(PMS)の結果を発表した。調査の結果、既存の生物学的製剤の市販後調査の結果に比べて、感染症を含む重篤な副作用が少ない傾向が見られたという。

 対象は、発売後にアバタセプトを使用した全例。投与開始から24週までに生じた副作用によって安全性を、ベースライン時、4週後、12週後、24週後の各時点で、DAS28-CRP(以下、DAS28と表記)によって有効性を評価した。

 2010年9月から2011年6月までに935施設でアバタセプトを使用した4256人を対象とした。うち安全性の評価対象は3985人、有効性の評価対象は3094人だった。安全性の評価対象の大部分が進行期RAであり、平均年齢は61.3歳、平均罹病期間は10.3年だった。約70%に生物学的製剤の投与歴があった。また、67.0%がメトトレキサート(MTX)を、63.3%がコルチコステロイドを併用していた。

 安全性では、15.4%に何らかの副作用が、2.5%に重篤な副作用が認められた。比較的高い頻度(0.5%以上)で発生した副作用は、上気道の炎症(1.2%)、帯状疱疹(1.0%)、気管支炎(0.9%)、口内炎(0.9%)、鼻咽腔炎(0.9%)、肝機能検査値異常(0.8%)、発熱(0.6%)、発疹(0.6%)。感染症の発症頻度は5.9%で、肺炎が0.7%、ニューモシスチス肺炎が0.1%、結核が0.03%、非定型抗酸菌症が0.05%だった。1.0%に重篤な感染症を認めた。

 生物学的製剤の投与歴がある患者においても、初めて生物学的製剤を使用する患者においても、アバタセプトの忍容性は高く、副作用の発生率、重篤な副作用の発生率に有意差は見られなかった。MTXを併用している患者では、併用していない患者に比べて副作用の発生率が低かったものの、有意差はなかった。

 多変量ロジスティック回帰分析により、感染症のリスク因子として、65歳超、体重40kg未満、肝疾患の合併、呼吸器疾患の既往歴または現病歴、アレルギーの既往歴、トシリズマブの使用歴、ステロイド5mg/日超の併用が挙げられた。

 有効性に関しては、DAS28がベースライン時の4.47から24週時点に3.25へ低下し、投与開始から4週以内に有意に減少することが分かった(P<0.001)。初めて生物学的製剤を使用する患者におけるDAS28の減少幅は、2剤目の使用となる患者の減少幅に比べて有意に大きかった(P<0.001)。

 MTXを併用している患者におけるベースライン時から24週時点までのDAS28の変化量は−1.27で、MTXを併用していない患者の−1.10と有意差を認めた(P=0.003)。ただし、初めて生物学的製剤を使用する患者だけで解析すると、ベースライン時から24週時点までのDAS28の変化量は、MTX併用の有無に関わらず同等だった。

 小池氏は、「既存の生物学的製剤の市販後調査の成績と比べ、感染症を含む重症の副作用が少なかった。臨床医が生物学的製剤をうまく使えるようになった影響も大きいだろうが、薬剤の特性という面もあると考えている」と話していた。