ドイツUniversity of Erlangen-NurembergのSebastian Kraus氏

 関節リウマチ(RA)治療においてIL-6とTNFαは治療の主要な標的分子といえる。今回、高解像度末梢骨用定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)を用いた関節周囲の骨構造の解析から、IL-6阻害薬とTNF阻害薬はどちらも関節構造の保持、骨びらんの抑制に有効だが、その効果はIL-6阻害薬と位置づけられるトシリズマブの方が強いことが分かった。10月30日まで米国サンディエゴで開催されていた米国リウマチ学会(ACR2013)で、ドイツUniversity of Erlangen-NurembergのSebastian Kraus氏らが報告した。

 本研究ではHR-pQCTを用いて、トシリズマブおよびTNF阻害薬が関節周囲の骨構造に及ぼす効果を比較した。対象はACR/EULAR2010分類基準を満たすRA患者54例で、29例がトシリズマブによる治療(トシリズマブ群)を、25例がTNF阻害薬による治療(TNF阻害薬群)を受けた。トシリズマブ群の14例、TNF阻害薬群の18例がMTXを併用していた。

 両群で年齢(トシリズマブ群53.48歳、TNF阻害薬群54.40歳、以下同様)、女性比率(65.5%、68.0%)、RA罹病期間(55.28カ月、57.60カ月)、リウマチ因子陽性率(55.2%、64.0%)、抗シトルリン化ペプチド抗体陽性率(62.1%、60.0%)に有意差はなく、ベースラインのDAS28はトシリズマブ群の方が高い傾向(4.33、3.39、P=0.051)にあったが、治療後には同レベル(2.75、2.72)となった。

 HR-pQCTによる関節スキャンはXtremeCT(SCANCO medical)を用いて行い、解像度は等方性ボクセルサイズ82μmとした。評価対象とした関節は、障害度が強い側の第2〜第4中手指節間関節(MCP)と手関節で、骨びらんと骨棘を比較した。骨びらんは部位、数、サイズ、容積を測定し、骨棘は関節周囲の古い骨皮質からの新規骨形成と定義し観察した。

 骨びらん容積の変化は、MCPではトシリズマブ群122関節、TNF阻害薬群73関節で、手関節ではそれぞれ43関節、34関節で評価した。ベースラインに比べ1年後のMCPの骨びらん容積は両群で低下したが、トシリズマブ群では有意だった(P=0.006)。同様に手関節の骨びらん容積も、トシリズマブ群でのみ有意に低下した(P=0.05)。

 一方、MCPの骨棘数およびサイズのベースラインからの変化については、トシリズマブ群ではどちらも有意な変化を示さなかった。これに対してTNF阻害薬群では、骨棘サイズが有意に増大した(P=0.02)が、骨棘数は有意な変化を示さなかった。手関節の骨棘数は両群ともにベースラインから有意に増加したが(どちらもP=0.022)、骨棘サイズは両群ともに有意な変化を示さなかった。

 これらのデータからKraus氏は、「どちらの薬剤も骨構造の統合性を保持し、骨びらんの進展を抑制したが、骨びらん進展の抑制効果はトシリズマブの方が強かった」と結論し、「HR-pQCTは骨の微小構造の変化を検出し、抗リウマチ薬の効果を検討する上で、感度の高い優れた手法である」と強調した。