米国University of Alabama at BirminghamのHuifeng Yun氏

 近年、米国でも関節リウマチ(RA)に投与できる生物学的製剤が増えたが、これら薬剤間の安全性の違いは、必ずしも明確になってはいない。米国University of Alabama at BirminghamのHuifeng Yun氏らは、Medicareによる給付記録の解析から、生物学的製剤の安全性には違いがあり、アバタセプトに比べてエタネルセプト、インフリキシマブ、リツキシマブは感染症による入院リスクが高かったと、サンディエゴで10月30日まで開催されていた米国リウマチ学会(ACR2013)で報告した。

 Yun氏らはまず、2006〜11年のMedicareによる給付記録から、生物学的製剤の投与歴があり、以前に別の生物学的製剤を1剤以上使用していたRA患者を抽出した。追跡対象の生物学的製剤を過去に使用していた場合は、12カ月間以上の間隔が空いていることを登録条件とした。追跡期間は12カ月間とし、感染症による入院、生物学的製剤の30日間の使用中断、死亡、Medicare給付中止のいずれかが生じた場合には追跡を打ち切った。

 生物学的製剤の新規使用患者のデータを基に作成した感染リスクスコアと、その他の交絡因子で補正し、Cox比例ハザードモデルを用いて各生物学的製剤の感染症による入院リスクを比較検討した。

 解析対象は2万9798例で、投与されていた生物学的製剤の内訳は、多い順にアバタセプト29.0%、アダリムマブ15.0%、リツキシマブ14.9%、インフリキシマブ12.3%、エタネルセプト11.9%、トシリズマブ6.4%、セルトリズマブ5.9%、ゴリムマブ4.3%だった。

 全て生物学的製剤の投与歴がある患者だったが、過去に2剤以上の投与歴がある患者はアダリムマブ、エタネルセプト、アバタセプト、インフリキシマブの投与患者では少なく、トシリズマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブの投与患者では多かった。ステロイド併用率は54.0〜66.6%、MTX併用率は53.0〜61.1%だった。

 追跡期間である12カ月間に、感染症による入院は2236例で認められた。患者100人・年当たりの入院は、少ない順に、アバタセプトが12.5件、ゴリムマブとセルトリズマブが13.4件、アダリムマブが13.6件、トシリズマブが13.7件、エタネルセプトが14.6件、インフリキシマブが16.1件、リツキシマブが17.6件となった。

 感染症による入院リスクが最も少なかったアバタセプトを基準とし、交絡因子補正後の同リスクのハザード比を求めたところ、低い順にアダリムマブが1.07(95%信頼区間 0.92-1.26、以下同様)、セルトリズマブが1.08(0.87-1.35)、トシリズマブが1.10(0.89-1.36)、ゴリムマブが1.15(0.90-1.47)、エタネルセプトが1.23(1.04-1.44)、リツキシマブが1.37(1.21-1.56)、インフリキシマブが1.38(1.19-1.60)となり、アバタセプトに比べてエタネルセプト、インフリキシマブ、リツキシマブで、感染症による入院リスクが有意に高くなっていた。

 今回の検討からYun氏は、「RA治療に用いられる生物学的製剤のうち、アバタセプトに比べて、エタネルセプト、インフリキシマブ、リツキシマブは重篤な感染症のリスクが高かった。生物学的製剤の選択に当たっては、感染症リスクの違いも考慮することが重要だ」と結論した。