米国University of ColoradoのMichael H. Schiff氏

 関節リウマチ(RA)に対するメトトレキサート(MTX)の皮下注製剤(米Antares Pharma社、米国での商品名OTREXUP)の第2相臨床試験の結果が明らかになり、安全性に深刻な懸念はなく、高い生物学的利用率を達成できることが示された。10月26日から30日まで米国サンディエゴで開催されている米国リウマチ学会(ACR2013)で、米国University of ColoradoのMichael H. Schiff氏らが発表した。

 MTXはRA治療のアンカードラッグとされるが、高容量の場合、経口製剤を投与しても消化管からの吸収が飽和状態となり、生物学的利用率が低下してしまう。消化管の副作用にもつながるため、投与量には限界がある。その点、非経口のMTX皮下注製剤では吸収が飽和状態に至らないため、生物学的利用率を高く維持できる可能性があり、消化管の副作用が減ることも期待される。

 そこでSchiff氏らは、Antares Pharma社のMTX皮下注製剤を用い、主として有効性を評価する第2相臨床試験を実施した。オートインジェクター機能を備えたディスポーザルタイプの製剤(10mg、15mg、20mg、25mg)を用い、12週間にわたって3群を比較する非盲検クロスオーバー試験を実施した。

 対象はRAと診断された18歳以上の成人で、3カ月以上MTXによる治療を受けている患者。1:1:1で皮下注MTXの腹部接種、皮下注MTXの大腿接種、および経口MTXに無作為割り付けした。慢性腎臓病、急性腎不全の患者と、被験者登録後、初回の検査でAST、ALT、ビリルビン値が基準上限値の3倍超だった患者などは除外した。

 試験開始前にスクリーニングを実施し、直近のMTX投与量や重症度に基づいて10mg、15mg、20mg、25mgのうちいずれかの投与量に振り分け、同じ経路で3週間、毎週1回MTXを投与した。MTX投与前と投与後12時間以内に血液を採取し、血中濃度の曲線下面積(AUC)と最高血中濃度から生物学的利用率を評価した。MTXの投与は試験実施施設内で行った。

 対象は49人で平均年齢は61.4歳、女性は63.3%、BMIの平均値は30.7kg/m2だった。平均罹病期間は13.3年。病期分類はステージ2が61.2%、ACR機能障害度分類はクラス2が67.3%だった。投与量は、13人が10mg、12人が15mg、12人が20mg、12人が25mgに振り分けられた。

 その結果、AUCの平均値は、全ての投与量で皮下注投与(腹部または大腿部)が経口投与を上回った。皮下注の場合、MTXの曝露量は投与量に依存して直線的に増加した。一方経口投与では、15mg以上の投与量において曝露量が頭打ちになった。

 また、皮下注投与の経口投与に対するAUCの幾何学的最小二乗平均の比率を投与量別に見ると、10mgで120.63%、15mgで114.19%、20mgで131.34%、25mgで141.18%となり、投与量にかかわらず、常に経口投与に比べて高い生物学的利用率を達成できることが分かった。最高血中濃度、最高血中濃度到達時間、半減期は、投与経路に関わらず同様だった。

 有害事象としては、重篤な副作用が2例あり、1例が循環器疾患の既往のある79歳男性の心筋梗塞による死亡(試験6日目)で、もう1例は、冠動脈疾患の既往がある72歳男性の不整脈(試験終了後)だった。治療に起因する副作用は3例(疲労感、吐き気、関節リウマチの治療中断)認められ、接種局所の副反応(グレード1の紅斑)が2例報告されたが、全体として皮下注製剤の安全性と忍容性が確かめられた。Schiff氏は、「生物学的利用率が高く、経口製剤に比べて臨床上の有効性も向上することが期待される」と話す。

 今回、試験対象とされた製剤は、MTX初の皮下注製剤として今年10月14日に米食品医薬品局(FDA)から承認を得た。米国では、2014年初めにも発売される見通しという。

 適応は、重度で進行性の成人RAまたは多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎で、最大用量の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を含む、別の作用機序を持った薬剤を使っても奏効しなかった患者などとされ、経口のMTXよりも厳しい条件になっている。