フランスLapeyronie病院のClaire I. Daien氏

 免疫機能に深くかかわるB細胞を調べれば、1剤目の腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬が効くかどうかを予測できるかもしれない。フランスLapeyronie病院のClaire I. Daien氏らは、健常者や関節リウマチ(RA)患者のB細胞を解析して、TNFα産生能の高いメモリーB細胞が一定以上の割合を占める患者では、1剤目のTNF阻害薬が効きやすいことを明らかにし、10月26日に米国サンディエゴで開幕した米国リウマチ学会(ACR2013)で報告した。

 研究グループはまず、健常群とTNF阻害薬使用中の患者を含めたRA患者について、B細胞のサブセットを解析。末梢血から末梢血単核細胞(PBMC)を分離し、CD19陽性のB細胞をさらに4つのサブセットに分類し、各サブセットが占める割合を調べた。B細胞のサブセットは、CD27とIgDの発現の有無によって、ダブルナイーブB細胞(IgD陰性+CD27陰性)、ナイーブB細胞(IgD陽性+CD27陰性)、プレスイッチB細胞(IgD陽性+CD27陽性)、ポストスイッチB細胞(IgD陰性+CD27陽性)と定義した。

 対象となったのは、31人の健常者と96人のRA患者。RA患者は2010ACR-EULAR分類基準を満たす者とした。RA患者には、TNF阻害薬使用中の患者(21人)、抗リウマチ薬(DMARDs)未使用の患者(18人)、TNF阻害薬未使用の患者(58人)が含まれていた。

 B細胞のサブセットに影響する因子(年齢、性別、ステロイドの投与量)について調節した後に重回帰分析を行い、B細胞のサブセットの割合を比較した結果、全RA患者と健常者との間に有意な差は見られなかった。また、TNF阻害薬を使用している患者と健常者との間にも、有意差は認められなかった。

 ただ、RA患者のうち、当初はTNF阻害薬未使用で、研究中にTNF阻害薬を使用し始めた21人の患者を、投与開始から3カ月時点でEULAR改善基準を満たした奏効群と、非奏効群に分けて解析したところ、投与開始時点でのB細胞におけるメモリーB細胞(CD19陽性+CD27陽性)の割合が26%以上の患者が、奏効群に有意に多いことが分かった(P=0.01)。メモリーB細胞とは、プレスイッチB細胞とポストスイッチB細胞を合わせたCD27陽性のB細胞のこと。

 カットオフ値を26%として、投与開始時点のメモリーB細胞の割合で21人を分類すると、26%未満だったのは8人で、26%以上だったのは13人。そのうち、3カ月後にEULAR改善基準を満たしたのは、26%未満では2人だったが、26%以上では11人と有意に多かった(P=0.02)。カットオフ値を26%とすると、26%以上の患者にTNF阻害薬が奏効する相対リスクは26%未満の患者に対して4.9倍になった(P=0.02)。

 Daien氏は、「メモリーB細胞はナイーブB細胞に比べてTNFαをより多く産生している。TNFαの産生はTh1の亢進と相関しており、メモリーB細胞の割合が大きく、Th1のパスウェイが亢進している患者に1剤目のTNF阻害薬が効くのではないだろうか。これまでこうした知見は知られていなかったので、実臨床にフィードバックできれば」と話している。