米国Baylor college of MedicineのGrace Lo氏

 近年、疫学研究などで変形性膝関節炎(KOA)とアテローム性血管疾患との関連が示され、変形性関節炎はメタボリック症候群の一要因である可能性も指摘されている。そこで、冠動脈疾患の重要なリスク因子である高血圧とKOA発症との関連を調べたところ、収縮期血圧や脈圧が高いほど、KOAの発症リスクが高いことが示された。10月26日から米国サンディエゴで開催されている米国リウマチ学会(ACR2013)で、米国Baylor college of MedicineのGrace Lo氏らが発表した。

 KOAの多施設観察研究OAI(Osteoarthritis Initiative)において、ベースラインでKOAを発症していない1931人を対象に、ベースラインの血圧、12カ月後、24カ月後、36カ月後、48カ月後におけるX線的KOAの発症(Kellgren and Lawrence[KL]分類のグレード>2)の有無を調べた。

 ベースラインの平均年齢は59.2歳、平均BMI:27.2kg/m2、男性42%。全体の61%は降圧剤を使用していなかった。降圧剤を使用していた人の内訳は、1剤20%、2剤13%、3剤5%、4剤1%だった。

 ベースラインの収縮期血圧を、1群(76-110mmHg)、2群(112-120mmHg)、3群(122-130mmHg)、4群(131-208mmHg)の4分位に分け、1群を基準としたKOA発症のオッズ比(OR)を求めた。

 その結果、2群OR:1.6(95%信頼区間〔CI〕:1.1-2.5)、3群OR:1.7(95%CI:1.1-2.7)、4群OR:1.8(95%CI:1.2-2.7)と、収縮期血圧が高い群ほどKOA発症率が有意に高かった(P for trend=0.007)。年齢、性、BMI、降圧剤の数、身体活動評価(PASE)、NSAID使用で補正後も有意な関連が見られた(P for trend=0.03)。

 脈圧についても同様に、1群(10-38mmHg)、2群(39-44mHg)、3群(45-54 mmHg)、4群(55-136mmHg)に4分位し、KOA発症のオッズ比を求めた。
 その結果、やはり脈圧が高い群ほどオッズ比は高く(P for trend=0.01)、全ての関連因子で補正を行った後のP for trendは0.05だった。

 しかし、拡張期血圧とKOAについては有意な関連は見られなかった。

 Lo氏は、「我々が知る限りは、収縮期血圧、脈圧とKOA発症の関連を示した研究はこれが初めて」と話し、「KOAと診断される前から痛みがあり、NSAIDを使用したために血圧が高くなった可能性や、身体活動量の低下や肥満があるためにKOAのリスクを高めている可能性なども考えられる。しかし、これらの因子で補正後も、高血圧とKOAリスクとの関連はかろうじて有意だった。高血圧の治療は、KOAのリスクを軽減する上でも重要である可能性があり、さらなる研究が必要」と考察した。