米国University of Alabama at BirminghamのJeffrey R. Curtis氏

 B型肝炎ウイルス(HBV)感染のあるRA患者が生物学的製剤や抗リウマチ薬(DMARDs)による治療を行う際、HBs抗原陰性でHBc抗体陽性の既往感染者でも低い頻度ながら肝機能増悪が起こり得る――。米国University of Alabama at BirminghamのJeffrey R. Curtis氏らの研究グループは、10月26日に米国サンディエゴで開幕した米国リウマチ学会(ACR2013)で発表を行い、関節リウマチ(RA)治療前にHBs抗原に加えてHBc抗体も測定し、HBV感染の有無を調べることが必要だと指摘した。

 HBVに感染していたり、既往感染しているRA患者が、RAの治療中にどの程度肝機能の増悪を起こすのかについては、これまで十分に研究が行われていなかった。

 そこでCurtis氏らは、1997〜2011年に米国退役軍人健康庁(Veteran's Health Administration)の医療保険でRAの治療を受けた3万8453人のうち、HBVが認められた患者を対象とした。HBs抗原かHBc抗体、HBV-DNAのいずれかが陽性の場合、HBV感染とみなした。

 対象とした薬剤は、生物学的製剤ではインフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプト、リツキシマブ、DMARDsではメトトレキサート(MTX)、レフルノミド、ヒドロキシクロロキン、サラゾスルファサラジン。未投与の薬剤に切り替えたり、1年以上の中断を経て以前に使っていた薬剤の再投与を始めた場合は、新たな症例として登録した。薬剤を処方された時点から90日以内のALT値が基準範囲の上限値の1.5倍未満に収まっている患者を解析対象とした。

 薬剤の投与開始後、1年間にわたってALT値を調べ、100IU/Lを超えた場合(女性では施設内基準範囲の上限値の3倍超、男性では2.5倍超に相当)を肝機能増悪と定義し、投与開始〜3カ月、3〜6カ月、6〜12カ月の各期間について肝機能増悪の発生頻度を調べた。

 解析対象としたのは574人で、患者の平均年齢は61.9歳、男性は91.8%。新たな薬剤の投与は957件行われ、そのうち生物学的製剤は291件(インフリキシマブ30件、アダリムマブ120件、エタネルセプト117件、リツキシマブ18件)だった。

 投与開始から12カ月までに認められた肝機能増悪の発生数は28件で、生物学的製剤を投与した場合でもDMARDsの場合でも頻度は低かった。生物学的製剤による肝機能増悪の発生数について見ると、全7件のうち5件が投与開始から3カ月以内の早期に起きていた。薬剤別に見て、肝機能増悪の発生頻度が最も高かったのは、リツキシマブの4.2%(1件)とMTXの4.8%(9件)だったが、薬剤間で発生頻度に有意な差は認められなかった。

 Curtis氏は、「今回解析対象となった患者の90%以上は、HBs抗原陰性でHBc抗体陽性の既往感染者だったが、低い頻度ではあるものの肝機能が増悪するケースがあると分かった。既往感染者は、患者自身も医師もその事実に気付いていないことがほとんどだ。再活性化や肝機能増悪に気を付けるためにも、RAの治療開始時にHBs抗原だけでなく、HBc抗体も必ず測定してほしい」と話していた。